2018年10月23日(火)

トヨタ、EV連合へ呼び水 マツダ・デンソーと新会社

2017/9/28 23:27
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トヨタ自動車マツダ、デンソーの3社は28日、電気自動車(EV)の基幹技術を共同開発する新会社を設立したと発表した。他のメーカーを誘う呼び水にし、軽自動車からトラックまで幅広い車種のEVを効率的に開発できる体制をめざす。日産自動車や欧米勢に遅れて、ようやく量産型EVの開発でアクセルを踏み始めたトヨタ。新会社をテコに差を詰められるか。

トヨタ自動車とマツダはEVの共同開発などを進める(8月、東京都中央区)

新会社「EVシー・エー・スピリット」は、トヨタが90%、マツダとデンソーがそれぞれ5%を出資した。40人近い技術者を配置し、2020年をめどに開発の土台となる設計手法などを確立する。小型車を得意とするダイハツ工業やスズキのほか、中型車中心のSUBARU、商用車の日野自動車にも参加を促す。

トヨタの世界販売は1000万台強。日米欧のほか中国、インドなどの各地で多様な規制と消費者ニーズの変化に対応しなければならない。それには「膨大な工数や費用、時間が必要」(トヨタ)で、従来のトップダウンの開発手法では限界がある。今回、デンソーが参加したのは、早い段階からグループの部品メーカーの経営資源を取り込むためだ。

特にEVは熱の制御が電池やクルマの性能を左右する。エアコンを使うと航続距離が落ちるといった課題もある。いずれもエアコン開発などで培ったデンソーの技術が生きる分野だ。

トヨタは4年連続で1兆円超の研究開発費をつぎ込むが、本命とする燃料電池車への投資もかさみ、EV開発では「脱・自前主義」を鮮明にする。背景にあるのは「グーグルやテスラなど新しいライバルとの海図のない戦いが始まっている」(豊田章男社長)との危機感だけではない。「EVは年間販売5万~10万台のモデルで戦わないといけない。少量モデルは(トヨタの)弱点だ」。あるトヨタ役員はこう話す。

トヨタは年間126万台を販売する「カローラ」など、1つの車種を大量に売るモデルで競争力を発揮してきた。しかしEVの本格普及にはまだ時間がかかり、少量モデルとして売るしかない。効率的な開発手法が強みのマツダとの資本提携を決めたのも「弱点」を補うためだ。EV新会社の開発陣のほぼ半分はマツダの技術者。マツダ幹部は「EVの基盤技術をみんなで一緒につくり、米独勢などに勝てるようにしたい」という。

まだ発展途上のEVだが、世界の開発競争はすでに激しい。仏ルノー・日産・三菱連合は20年までにEV専用の共通車台をつくり、22年までに12車種のEVを発売する計画。独フォルクスワーゲンも25年に世界販売の25%をEVにする方針を掲げる。テスラや中国の比亜迪(BYD)、英ダイソンといった新興勢力も攻勢をかけている。日産は量産EV「リーフ」の2代目を来月発売、テスラも7月に量産型の「モデル3」の出荷を始め、既に約50万台を受注した。

競争の環境や条件が大きく変わる中、トヨタはハイブリッド車で築いたエコカー市場での地位を守れるのか。意思決定のスピードや過去の成功にとらわれない判断がこれまで以上に重要になる。

(工藤正晃、横田祐介、湯沢維久)

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