信州大、「同種イオン集積」を発見 蓄電装置の性能向上に道
信州大学環境・エネルギー材料科学研究所(長野市)は、平板状のカーボン(炭素)の壁で囲んだ極小の空間では同種のイオンが集積することを発見した。大量の電気エネルギーを貯蔵する蓄電装置(スーパーキャパシタ)の高性能化につながる発見で、再生可能エネルギーの活用に寄与する見通しだ。
同研究所の金子克美特別特任教授を中心とする研究グループが発表した。通常は陽イオンと陰イオンが引き合い同種のイオンは反発する「クーロンの法則」が適用されるが、研究グループはカーボンの壁で囲んだ極小の空間にイオン溶液を満たした実験で、この法則が当てはまらず同種のイオンが集積する特殊な現象を確認した。
カーボンの壁の間隔を陽イオンと陰イオンが1分子層だけ入れる0.7ナノメートル(ナノは10億分の1)幅にすると、陰イオンの近くに陰イオンが25%の割合で集まり、通常の5倍程度の集積度になったという。
今後の研究でこの割合を高められれば、陰イオンと陽イオンに分けて蓄電がしやすくなる。