専門店の強み、ネットが侵食 米トイザラス破産申請

2017/9/19 23:41
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米玩具販売大手のトイザラスが19日、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申請に追い込まれた。大型店ならではの品ぞろえや安さを武器に一時代を築いたが、アマゾン・ドット・コムをはじめとするインターネット通販の攻勢で消費者を奪われた。伝統的な書店などだけでなく、対面販売が重要だった分野にまでネットの影響が及んできた。

トイザラスは玩具の大型専門店の先駆けで、メーカーから製品を直接仕入れ大量に販売する手法で事業を拡大。米国で800店舗以上を展開し海外でも38カ国に進出したが、ネット勢の台頭で業績悪化が続いていた。

トイザラスのデイブ・ブランドン最高経営責任者(CEO)は同日、「小売業界を取り巻く環境が激しく変化する中で、競争力を高めたい」とコメントした。店舗は「通常通り営業を続ける」とするが、米メディアは不採算店舗の閉鎖を検討していると報じた。

アマゾンなどネット勢の攻勢はまず書籍から始まった。ネット配信する電子書籍も普及すると、街中の書店の閉鎖が相次いだ。その後、ネット通販で取扱品目が増えると家電や衣料品まで影響が拡大。今年に入り米国の家電量販大手ラジオシャックが破綻し、米ギャップは3年間で約200店の閉鎖を決めた。

玩具は親が子供と一緒に店頭で選ぶような楽しみがあった。だが徐々にネットに取って代わられる場面が増え、トイザラスを追い込んだ。アマゾンは高級スーパーを買収し、小売業の最後のとりでとされる生鮮食品の分野にも進出し始めた。

トイザラスは日本国内でも約160店を運営している。今回の破産法の対象は米国とカナダのみで「日本の事業に直接の影響はない」(日本トイザらス)。

トイザラスが日本の玩具市場に与えてきた影響は大きい。1980年代末に日本の大規模小売店の出店規制に異議を唱えた。91年には日本に初出店し、その後、玩具の価格を大きく引き下げてきたとされる。

ただ店舗数はここ数年横ばいで、2017年1月期の業績は売上高が約1405億円、営業利益は約33億円。10年の上場廃止後、店舗の入れ替えなどで黒字を確保しているが、前の期と比べ減収減益だ。

ベビー用品店「ベビーザらス」を併設し、乳幼児から小学生向けまで幅広く商品をそろえるなど店作りを工夫する。だが遊びがスマートフォンのゲームなどに移行し、少子化も進む。乳幼児向けのおむつなどもネット通販に顧客を奪われつつある。

米国から始まったネット通販の台頭は日本にも確実に及んでいる。経済産業省によると「生活家電・パソコン」や「書籍、映像・音楽ソフト」などで2~3割程度がすでにネット経由の購入だ。

ネットの浸透が進む中各社は対策に乗り出した。ヨドバシカメラは自社のネット通販で注文から最短2時間半で宅配するサービスを一部で開始した。セブン&アイ・ホールディングスアスクルは生鮮食品のネット販売で提携を決めた。

大型専門店は大量一括仕入れによる低価格が強みだったが、今このメリットを最大限に提供するのはネット勢だ。リアルの店舗が一定の存在感を維持するには、対面販売などの強みを生かしながらネットにも対応できる両面作戦が必要だ。

(ニューヨーク=平野麻理子、桜井芳野)

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