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京都、観光客と市民共生
市、来秋にも宿泊税 混雑緩和など対策加速へ

2017/9/14 2:00
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 国際観光都市である京都市が、観光客の受け入れ環境の整備を本格化させるため、2018年10月にも宿泊税の導入に踏み切る。20年の東京五輪・パラリンピックに向け、さらなる訪日客の増加が見込まれる中、案内表示などの整備や交通機関の混雑緩和が急務だ。年間税収は東京都の約2倍の見通しで、市民や観光客の共生に向け、双方の満足度を高められるような財源の使途が問われる。

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 京都市が導入する宿泊税の特徴は住宅などを使う民泊や、低価格帯のカプセルホテルなど市内の全ての宿泊施設を課税対象にすることだ。課税額は宿泊料金2万円未満で1人1泊200円、2万円以上5万円未満で500円、5万円以上で1000円の3段階。課税額の上限を高くし、課税対象の裾野を広げて、十分な税収を確保する狙いだ。

 年間の税収は、新税を検討する有識者委員会が試算した約20億円を大幅に上回る45億6000万円を見込む。東京都(16年度で22億9000万円)のほぼ2倍だ。税収は観光案内所や公衆無線LAN、公衆トイレの整備など観光関連施策、交通機関の混雑緩和策などに充てる。

 京都市が東京都などを上回る最高税額を設定した宿泊税の導入に踏み切るのは、観光客の増加ペースに受け入れ環境の整備が追いついておらず、財政状況も厳しいためだ。市内の景観を守るための建物の高さ規制により、固定資産税の評価額が低い。さらに比較的に収入の低い学生の市民に占める割合が高く、税収が低くなる傾向がある。

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 同市の観光客数は16年には5522万人と3年連続で5500万人を超えた。観光消費額は1兆862億円と前の年比12%増と潤う一方、観光客の増加に伴い、「観光関連の施策に使う予算は増加傾向にある」(京都市財政課)。

 案内表示の多言語対応の遅れや市バスの混雑、民泊周辺でのごみや騒音などトラブルが深刻になっている。「公共交通など市のインフラを使い便益を享受する観光客も応分の税負担をすべきではないか」との意見も根強い。

 一方、税の導入に向け、宿泊事業者への理解を得る必要もある。12月に清水寺近くに高級ホテルを開業するホテルニューアワジ(兵庫県洲本市)の木下学社長は「(最大1000円の課税は)シビアな金額だ」と話す。京都市は宿泊税で得た財源を観光インフラの整備や混雑緩和などに充て、観光客と市民の双方が満足できる施策に活用する考えだ。門川大作市長は「全国のモデルにしたい」と意気込む。

■1月に導入の大阪府は…税収、想定の6割

大阪府は税収を観光案内所の開設に充てた(JR大阪駅)
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大阪府は税収を観光案内所の開設に充てた(JR大阪駅)

 1月から宿泊税の徴収を始めている大阪府は1人1泊1万円以上の場合に100~300円を課税している。税収は案内所の運営、多言語による案内表示、国内外の観光客誘致などの事業費に充てる。

 宿泊税の財源を基にJR大阪駅に「トラベルサービスセンター大阪(愛称・おもてなしステーション)」を開いた。観光案内、宿泊予約、外貨両替、国内外への荷物の宅配サービス(有料)などを手掛ける。

 ただ、1~6月の宿泊税の税収は3億3000万円弱だった。初年度の税収を10億9千万円と見込んでいたが、半年分として想定した額の約6割だ。7月からは国家戦略特区で認定した民泊、ゲストハウスやカプセルホテルなどの簡易宿所も徴収対象に加えた。

<識者の見方>
■民泊も対象、画期的
 地域観光を支援する井門観光研究所(東京・千代田)の井門隆夫取締役 民泊の登場によって人気の観光地では宿泊客が無制限に増え続け、「観光公害」と呼ばれるような事態も起きている。京都市の宿泊税は、東京都などと違い、安価な民泊も課税対象とした点で画期的だ。ただ、民泊の実態を把握するのは難しい。徴収義務を果たさない事業者をどれだけ厳格に取り締まれるかが課題になる。
■地域戦略に充当を
 京都大学経営管理大学院の若林靖永院長 混雑対策のみならず、地域の観光戦略に財源を充てることも必要だ。宿泊税の税収はホテルなどの観光産業の努力によって得られるものだ。税収を地域のDMO(観光地経営組織)などに充てることで、新たな観光マーケットの創造や、国際会議の誘致に役立てれば、より各方面に納得感が得られる。米国ではすでにそうした取り組みが採用されている。

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