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関西の果物 海外に活路 輸出拡大へ官民動く

大阪のブドウ、急速冷凍で香港へ 和歌山の梅、料理に加工品提案

関西で果物の輸出拡大のための取り組みが動き始めた。大阪府は洗剤メーカーのサラヤ(大阪市)の冷凍技術を使い、ブドウを収穫期以外にも出荷できる体制を整える。海外の料理人と連携し、和歌山県産の梅を食材として売り込む試みも始まった。訪日客増を受けて日本産の果物の人気は高まっており、関西では空港で生鮮品輸出のインフラ整備も進む。国内市場の成長が見込みにくいなか、海外に活路を求める。

大阪府は洗剤メーカーのサラヤや生産者とともに小粒の種なしブドウ「デラウェア」を素早く凍結する技術の開発を進める。10月にもこの技術を使って冷凍したブドウを、香港で試験販売する予定だ。

大阪府は農業産出額のうち、ブドウが1割強を占め、全国でも6位前後。府は輸出拡大のため旬をずらせる冷凍技術を探索。関西・食・輸出推進事業協同組合(大阪市)などを通じて接点があり、食品衛生分野にノウハウを持つサラヤと連携することになった。

開発中の冷凍技術では、マイナス30度のアルコールを使い、通常より20倍速い20分ほどで冷凍する。氷の結晶はマイナス1~同5度で成長するが、熱伝導率が高いアルコールを使ってこの温度帯を素早く通過させることで、大きくなった氷の結晶がブドウの細胞を傷つけることを防ぐという。

中華圏では中秋節や旧正月でブドウが贈答品などとして人気だが、デラウェアの春から夏にかけての収穫期とずれている。秋冬でもおいしく味わえる技術を開発して輸出拡大に結びつける戦略だ。

サラヤは「ヤシノミ洗剤」で知られる洗剤・衛生機器メーカーで、冷凍ブドウの輸出が軌道に乗って国内の農家などが専用設備を整えることになれば、手洗い器や薬剤などの納入での商機拡大が見込める。

日本貿易振興機構(ジェトロ)は和歌山県などと連携し、食材としての梅輸出を目指す。10月に米ニューヨークとシンガポールの料理人や有名ブロガーを県内に招いて、梅や梅ペーストなどの加工品を紹介、彼らに梅を使った新しいメニューを考えてもらう。2018年1月、食材バイヤーを招く海外でのセミナーで試食してもらう予定だ。

海外では梅を使った料理のなじみは薄い。海外のバイヤーを通じ地元レストランや食品メーカー向けに同県産の梅を買ってもらう。和歌山県は国内の梅生産量の6割強を占める。

奈良県農業協同組合(JAならけん)は17年産の柿の輸出を16年産比で2割増やし180トン強にする方針だ。主力の香港に加えて東南アジア向けを強化するほか、初のカナダ輸出も検討する。

9月後半から輸出を本格化する。大手卸の大果大阪青果(大阪市)などと提携し、現地の流通業者に売り込みをかける。アジアでは中国産、韓国産などが出回るが、日本産は大ぶりで甘いため富裕層に人気がある。現地では他国産の2倍で売れるケースもあるという。

輸出 昨年3%増 関空の保冷倉庫、一役


 大阪税関によると、近畿圏からの果物輸出は2016年に58億円と前年比3%増え、過去最高を更新した。統計には近隣県産の果物の近畿圏経由での輸出も含まれるとはいえ、全国の3割を占めており、存在感は大きい。
 伸びに貢献しているとみられるのが関西国際空港に15年、食材輸出に特化した定温保冷倉庫がオープンしたことだ。
 関空からの果物の輸出金額は16年に21億円と14年比で約2倍に伸びた。近畿地方の果実の農業産出額の全国に占めるシェアは1割程度だが、和歌山県はミカン、梅、柿の生産でそれぞれ全国首位で、柿は奈良県が2位につけるなど強みのある作物も多く、開拓余地はなお大きい。
 課題もある。大阪府立環境農林水産総合研究所(大阪府羽曳野市)で8月に開いた冷凍ブドウの試食会では、JA関係者からは「味は通常の冷凍よりもマシだが冷蔵には劣る」との厳しい声も聞かれた。今後も食味改善に向けた技術改革や市場獲得のための関係者への働きかけといった地道な取り組みが求められそうだ。

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