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瀬戸の海巡る「高級宿」 せとうちHD、客船 来月17日就航

せとうちホールディングス(HD、広島県尾道市)は小型豪華客船「ガンツウ」を10月17日に就航させる。広島県尾道市のマリーナを母港に、瀬戸内海沿岸の景勝地を周遊する。ガンツウのデザインを担当した建築家の堀部安嗣氏は瀬戸内の風土と溶け合うようにし、風景の新たな楽しみ方を取り入れたことを明らかにした。

尾道のマリーナを母港に周遊するガンツウ(イメージ図)

堀部氏は昨年、日本建築学会賞を受賞。建築物以外を手掛けるのは初めてだ。「せとうちに浮かぶ、小さな宿」をコンセプトとするガンツウは、2泊3日、3泊4日のツアーを中心に運航する。飲食などを含む室料は2名利用で1泊1室40万~100万円。客室は19室。90平方メートルの「ザ ガンツウスイート」など4タイプがある。

客室は木を多用している

いずれの客室も木を多用。大きな窓の先に延びる切り妻屋根の軒先に見える瀬戸内の風景が最も映えるよう床の高さを工夫している。

ガンツウを製造した常石造船は、ばら積み船が主力。初の本格的な客船の建造となった。さらに2号船、3号船への展開が期待できるかはガンツウの評価や実績にかかっている。予約は東京の帝国ホテル内に設けた「ガンツウギャラリー」か電話のみで受け付ける。せとうちHDによれば、「10月分はほぼ埋まっている」状況だ。

■風土に溶け合う船に デザインの堀部氏に聞く

建築家の堀部安嗣氏にデザインのポイントを聞いた。

――店舗・住宅とは全く違うチャレンジです。コンセプトは最初から決まっていたのですか。

「大きさや客数、瀬戸内海を漂うような船という提示はあった。それで参考にしたのは、カンボジアのメコン川クルーズだ。視察で2泊した。船の規模、速度など大変参考になった。ただ風景があまり変わらない。これが瀬戸内だったら飽きないだろうと思った」

「飛鳥やクイーン・エリザベスといった豪華客船とは、船のあり方が全く違う。動くビルみたいな豪華客船は外洋に出て世界の様々な場所に行く。そのため、船だけで独自の世界を形成している。ガンツウは瀬戸内の風土と密接につながり、溶け合い、船だけでは完結しない世界を目指した」

――切り妻屋根の和風建築風のデザインはその象徴ですか。

「瀬戸内の風景と溶け合うには部屋から見る景色を、窓枠ではなく、軒先で切り取りたかった。日本建築は周辺とつながっており、どこまでが建築でどこまでが自然かはっきりしない。いかに風景を切り取るかを追求すると軒が必要になり、結果として切り妻屋根となった」

「また、船なので重量の制約もあった。重い石などの建材は使えない。内装も針葉樹の軽い木を多用した。経年変化で味が出るので、十数年後に再び乗船してもらうと、雰囲気は違っているだろう。船の色はシルバーを基調とした。瀬戸内の海や空の色を映して溶け込んでいくと思う」

「ぜいたくな時間を過ごしてもらうために、いかにリラックスしてもらうか考えた。日本人としては、部屋に入ると靴を脱ぎ、足を崩したいのでは。そしてボーッとする。その積み重ねが本当のぜいたくではないか。こんな船があれば、という試金石になってくれればうれしい」

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