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まさかに備え 減災技術磨く 津波の避難タワー、「引き波」対応
地震、最大被害を建物ごとに予測 老朽インフラ、ドローンで点検

2017/9/1 2:30
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 9月1日は防災の日。南海トラフ巨大地震などのリスクに備え、関西の産学官は防災・減災の様々な新技術に挑戦している。大阪市の防災機器メーカーが津波の様々なリスクを想定した避難タワーを開発したほか、理化学研究所は地震被害の詳細な予測を進める。老朽化が進む橋梁をドローンで点検する試みも始まった。「想定外」をなくす試みに終わりはない。

高さだけでない

 南海トラフ巨大地震が起きた場合、津波被害が懸念される高知県黒潮町。今春、7~8階のビルに相当する高さ22メートルの避難タワーが誕生した。設置したのは大阪市に本社を置くフジワラ産業だ。特徴は国内最大級の高さだけではない。

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 藤原充弘社長は「被災者がタワーに上れば安全とはならない」と説明する。船舶、がれきなどの漂流物が激突するとタワーが倒壊しかねないためだ。海から押し寄せる押し波だけでなく引き波のリスクも大きく、東日本大震災では海側に倒れた建物もあった。

 新タワーでは押し波と引き波がぶつかる方向にそれぞれ3本の緩衝くいを設けた。くいは鋼管にコンクリートを流し込み強度を高めた。「引き波への対策など新たな視点の設計」(藤原社長)が評価され、約6億円で受託した。

 収容人数は約180人。藤原社長は「防災の専門家から『津波避難タワーの集大成』と言っていただいた」と話す。同社は和歌山県すさみ町、串本町など全国で40基以上のタワーを施工した実績がある。10人程度の少人数が避難できる低コストのタワーも開発した。

スパコン「京」を使う

 災害の程度を予測することは重要だが「最大被害」が分かるだけでは十分でない。非現実的と受け止められたり過剰なインフラ整備につながったりしかねないからだ。被害の可能性を精緻に予測する試みも始まった。

 理化学研究所計算科学研究機構(神戸市)はスーパーコンピューター「京」を使い、都市をまるごと揺らすシミュレーションを神戸市や東京都で実施した。建築構造や築年数、地盤の状況のデータから、建物一つ一つの揺れを予測できる。

 東京の直下型地震を想定したシミュレーションでは、地盤と建物が振動する方向が一致した方が揺れが大きく、隣接したビルでも程度が大きく異なることが確認された。「細かな場所ごとに被害の確率を示せれば」と理研の大石哲・総合防災・減災研究ユニットリーダーは期待する。

 理研が2020年ごろに稼働する京の後継機は計算能力が最大100倍に高まる。さらにきめ細かい予測が期待される。

■橋梁やダムの構造チェック

 積み上げた想定シナリオを想定外にしかねないのがインフラの脆弱さだ。老朽化した橋梁などが壊れれば交通が遮断され復旧の妨げになる。欠陥の早期発見が重要だが、検査できる熟練技能者は足りていない。

 ドローン(小型無人機)で橋梁やダムの構造をチェック――。ドローン専門店を運営するワールドリンク&カンパニー(京都市)はインフラ点検が必要な事業者にドローンの使い方を指南する事業を始めた。

 搭載した高機能カメラで空撮し、特殊なソフトで構造を3次元画像として捉える。作業者の足場を組んで検査する必要があった場所でも容易に点検できる。

 同社はインフラが損傷している部分の深さなどを測り、修復の必要があるかなどの判断に生かす研究を金沢大学教員らと進めている。「産学連携を密にしたい」と須田信也社長は語る。

 島津製作所は隠れた欠陥を可視化できる技術を開発した。表面に超音波を伝えて振動させ、内部の空洞や亀裂に反応し乱れた振動をカメラで映し出す。2019年度にも製品化する。

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