TPP11、凍結項目で溝 著作権や政府調達など

2017/8/31 1:08
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【シドニー=山崎純】30日に閉幕した環太平洋経済連携協定(TPP)の首席交渉官会合では昨年に署名したTPPの内容のうち、具体的にどの項目を凍結するかの議論に入った。各国の要求は出尽くしておらず、日本で開催する9月の次回会合で凍結項目を固める。米国が離脱表明し、TPP参加国で最大の経済大国となった日本がどれだけ交渉を主導できるかが試される。

今回の会合はオーストラリアのシドニーで3日間開いた。交渉関係者によると、カナダとメキシコが真っ先に凍結を求める項目のリストを示した。データ保護期間をはじめ50前後の項目が出たようだ。著作権や政府調達の開放などでは結論が出なかった。

両国は米国との間で北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に入った。TPPの合意内容をNAFTAにも盛り込むよう求める米国をけん制するために、一部の項目を早く凍結したい考えだ。

加えて両国ともTPP交渉を早く終わらせて、NAFTAの再交渉に全力を注ぎたいのが本音。交渉関係者は「両国が急にTPPの交渉を急ぎ始めた」と明かす。両国の変化は合意に向けた追い風になる。

早期発効を目指す日本や豪州、ニュージーランドは今回、凍結の要求を出さずに調整役に徹する構えを見せた。

一方、ベトナムやマレーシアなどの国は国内調整の遅れを理由に、要求項目のリストは出さずに、主な項目を口頭で説明するにとどまった。ベトナムからは国有企業の優遇廃止などについて言及があったとみられる。

各国の凍結要求のうち11カ国すべてが同意した項目は凍結する。医薬品のデータ保護期間と特許期間の延長については各国が凍結で一致した。こうした項目はTPP参加国以外にも適用されるため、そのまま発効すれば離脱した米国も恩恵を受けることに不満が高まっていた。凍結することで、「米国もTPPに戻った方が得」とアピールして、米国に復帰を促す狙いもある。

それ以外の凍結項目は議論が必要になる。「全員に中身の煮詰まったものを出してもらいたい」。日本の梅本和義首席交渉官は次回の日本会合に向けて、各国に改めて凍結要求のリストを出してもらう考えを示した。そのうえで凍結の可否を決める。

今後の焦点の一つはベトナムとマレーシアの動きだ。両国は次回の日本会合で追加の要求を出す見込みで、内容によっては議論が紛糾する恐れもある。両国はもともと米国市場への輸出拡大を目当てにTPPに参加。今回、豪州の閣僚が各国の交渉団を招いて開いた食事会も欠席するなど、米抜き発効に積極的な国とは微妙な距離感が残っている。

また交渉関係者は「凍結ではなく、内容を修正せざるをえない項目もある」と明かす。各国が不満を持つ項目を修正しようとすると、どう修正するかを巡って長い時間がかかる。そこで「凍結」という形で項目を棚上げすることでスピード発効を目指すのが、今回のシドニー会合と9月の日本会合の役割だ。

内容の修正にまで踏み込むと各国の間で難しい調整が必要になる。そのため10月にも改めて首席交渉官会合を開き、議論することになりそうだ。11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での大筋合意を目指して、ぎりぎりの交渉が続く正念場となる。

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