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船場、個人客に商機 「繊維の街」衣替え
創業地に工芸小売店/訪日客が着付け体験

2017/8/31 2:00
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繊維メーカーや問屋の流出が進む大阪・船場(せんば)で、個人客をターゲットとした衣料や工芸の拠点づくりが進み始めた。老舗の加工会社が創業地に「回帰」して生地販売や工芸教室の店舗を設けたほか、訪日外国人が着物を体験できる施設も現れた。オフィスに代わりマンションやホテルの建設が進む船場。伝統を生かして個人客を呼び込めれば活性化の糸口になりそうだ。

42年前の丼池問屋街

42年前の丼池問屋街

繊維を身近に楽しんで――。ハンカチなどのプリント加工を手掛ける松尾捺染(なっせん=大阪市)が創業地の船場に開設した「船場盛進堂」。市内でアート工房を主宰する北野三希代さん(60)の工芸教室が8月に開かれた。期間中に延べ約60人が参加し、小物入れのトレイなどを作った。

1926年創業の松尾捺染はハンカチや洋服の布に色柄を付ける捺染加工で高い技術を持つ。東大阪市を拠点とするが、空き家になっていた松尾治社長の生家を改装し、生地販売や情報発信の拠点として5月に開業した。1階は作家が展示・販売するギャラリーとカフェ、2階はオリジナルデザインの生地約800種類を販売するコーナーと教室用スペースとした。

数年前からインターネット販売や百貨店での催事販売など消費者向けビジネスを始めたところ、デザインや色合い、肌触りを確認して購入したいとの希望が出ていた。店でニーズを直接聞くことでデザインなど商品開発にも反映できるとみる。

現在の堺筋周辺

現在の堺筋周辺

同社の2017年8月期の売上高は約8億円の見通し。現在数%にとどまるネットと船場盛進堂の売上高比率を数年後に10%程度まで高める。

創業地で出店した背景には街のにぎわいが戻ってきたこともある。「最近は幼なじみが戻ってきたり、犬を散歩させる住民をよく見かけたりする」と松尾社長は語る。

船場ではオフィスに代わり、マンションやホテルの建設が相次ぐ。帝人が売却した大阪本社ビルを取得したJR九州は100メートル超のマンションを計画中だ。東急不動産などは地下鉄本町駅直結の「ブランズタワー御堂筋本町」(地上38階建て)を今秋に完成する。

アパグループは屋外プールを備えた地上32階建てのホテル「アパホテル&リゾート〈御堂筋本町駅タワー〉」を19年に開業する予定だ。

地域団体「船場げんきの会」によると00年に3900人だった人口は14年以降1万人台に増えた。「大きなトランクを持って歩く外国人も目立つ」(船場げんきの会事務局の川口武史氏)

街の伝統を生かした試みも広がる。大阪市交通局の外郭団体、大阪メトロサービスは昨年、繊維問屋が集まる「船場センタービル」に着物の着付けを体験できる施設「和爽美」を開業した。

多い日には香港、台湾、韓国などからの外国人を中心に1日計40人が訪れる。同社の前川義明企画担当課長は「ビルにはほかにない商品を売る店も多く、集客の潜在力が高い」と評する。

■住む・遊ぶ「新たな魅力」 地域団体の橋爪代表世話人

「働く機能に住む機能、遊ぶ機能が混じり合い、新たな魅力を帯び始めた」。地域団体「船場げんきの会」の代表世話人を務める橋爪紳也氏(大阪府立大教授)は現在の船場をこう語る。「昔からの住民が主体となって街の歴史や文化を伝える努力が必要。新たな住民には都心にあって便利なだけでない魅力を知ってもらいたい」と語る。

同会は2009年以降、多彩なイベントの「船場まつり」を毎年秋に開いている。今年も10月6~8日に開催。9月に無料ガイドブックを約2万部発行し配る予定だ。

▼船場 キタとミナミの中間にある南北2.1キロ、東西1.1キロの区域。豊臣秀吉による大坂城築城にあわせ、西側の砂州を埋め立てて誕生したとされる。江戸時代に水運の拠点として人とカネが集まり、経済の中心地となった。明治時代には商社や繊維の企業が成長し、伊藤忠商事丸紅も生まれた。
 「丼池(どぶいけ)問屋街」をはじめ、繊維関連などの問屋が集積。だがバブル崩壊後は安価なアジア製品の普及などで繊維産業が縮小した。2011年には伊藤忠商事、15年には丸紅が拠点をキタに移し、帝人も5月、大阪本社を中之島などに移転した。

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