TPP凍結項目を整理 首席交渉官会合
【シドニー=山崎純】米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国の首席交渉官会合は29日、2日目の議論に入った。米国の離脱を受けて各国が凍結を求めた項目について意見を交わした。新薬を独占販売できる医薬品のデータ保護期間の凍結は大きな異論はなく、各国が一致する見通し。議論は遅れ気味で、最終日の30日にかけて調整を急ぐ。
オーストラリアのシドニーでの会合は29日、これまでに出た凍結要求の内容を一つずつ確認した。データ保護期間のほか、投資ルールや政府調達の凍結要求も出た。今後、11カ国全てが同意した項目は凍結して、TPPが発効しても各国の現行制度をそのまま適用する。米国が復帰すれば凍結を解除してもとの合意内容に戻る。
TPP参加国以外にも適用される知的財産などのルールは、そのまま発効すれば離脱した米国も恩恵を受けるため各国から不満が出ていた。そうした項目を凍結することで米国にTPP復帰を促す効果も期待できる。
日本の渋谷和久政策調整統括官は同日、記者団に「凍結項目の要求は出尽くしたのではなく、調整中の国もいくつかある」と述べた。国内調整の遅れが理由で、要求の詳しいリストを出さずに口頭での概要の説明にとどまったもようだ。今後追加の要求が出てくるのは避けられない。
日本や豪州、ニュージーランドは原則として、できるだけ凍結せずにTPPの早期発効を目指す。米国の要求に譲歩した項目を凍結したいベトナムやマレーシアとは開きがある。