KDDI、ソラコム買収 伸び悩む携帯 成長投資で活路

2017/8/8 23:54
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KDDI(au)とソラコム(東京・世田谷)は8日、2日に発表したKDDIによるソラコムの買収について説明会を開いた。KDDIは、格安スマホの台頭もあり、主力の「au」ブランドの携帯事業の顧客数減少に直面する。買収を通じてソラコムの技術を取り込み、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」向け通信サービスを格安で提供する。

「ソラコムの子会社化でKDDIのIoT分野の能力がそろってきた」。8日の説明会でKDDIの新居真吾バリュー事業企画本部長は満足げに語った。ソラコムの玉川憲社長も「いち早くサービスを提供するためにはこれまで以上に通信事業者と密な関係を築く必要があった」と強調した。

ソラコムは創業からわずか3年弱のベンチャーだが、IoT分野の雄として国内で急速に注目を集めている。NTTドコモから回線を借りて、月数百円から利用できるIoT向け通信サービスの提供を2015年9月に開始。中小企業を中心に7月時点で顧客は国内外で7000に上る。

KDDIはソラコムに約200億円を投じて、月内に子会社化する。創業から3年に満たないベンチャーの買収としては国内でも屈指の規模だ。ソラコムが持つ顧客基盤や技術を取り込み、国内外でIoT基盤を強固にすることを狙う。

ソラコムの技術開発力には定評がある。IoT向け通信サービスでは、通常は通信機器メーカーから高価な機器を購入する必要があるが、ソラコムはクラウド上で対応できるようにして、顧客の利用料を大幅に下げた。

KDDIもソラコムの技術力を高く評価し、巨額の買収額につながった。今後導入予定のIoT向けの新たな通信規格や次世代通信規格である第5世代(5G)にも生かしていく。

KDDIは16年度からの3年間で、5000億円規模のM&A(合併・買収)の投資枠を設定。特にIoT分野に注目する。2月にはクラウドサービス開発のベンチャーであるアイレット(東京・港)を買収し、コンサルティング大手のアクセンチュアと共同出資でデータ分析のアライズアナリティクス(東京・渋谷)も設立した。ソラコム買収も5000億円の投資枠の一環だ。

KDDIがIoT分野のビジネスを加速するのは、収益の柱の携帯事業が伸び悩んでいるからだ。「au」の契約者数は6月末時点で2496万人と、開示を始めた2年前と比べ3%減少した。

新居本部長は「KDDIはベンチャーの力を加えながら成長してきた」と強調する。通信事業者の中では、いち早く12年2月にベンチャーファンドを立ち上げたほか、ベンチャー支援の取り組みも7年目を迎えている。ソラコムの力を取り入れ、自社の活性化につなげることができるか。停滞感が強まる中、今回の買収の成否に注目が集まる。(堀越功)

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