1都3県、ふるさと納税で846億円減収 - 日本経済新聞
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1都3県、ふるさと納税で846億円減収

ふるさと納税の浸透に伴い、都市部の自治体で住民税の減収額が膨らんでいる。総務省が28日発表した調査結果によると、2017年度の首都圏1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)では減収額が16年度比8割増の846億円に達した。全国の減収総額に占める割合は5割近くに上った。財源の流出に歯止めがかからない自治体は危機感を強めている。

都県別(市区町村分を含む)にみると、東京都は78%増の466億円と最も多く、全国の4分の1を占めた。神奈川県は82%増の187億円、千葉県は88%増の98億円、埼玉県は80%増の95億円だった。

市区町村別では、都内最大の減収額は世田谷区で、89%増の31億円だった。このため、児童養護施設を巣立つ若者の学費支援など8基金への寄付を募集。31日朝には保坂展人区長らが東急世田谷線三軒茶屋駅前で、寄付を訴える予定だ。

都内で2番目に大きい港区は53%増の23億円。保育所3~4カ所分の年間運営費に相当する金額という。減収額上位の多くは東京23区が占め、杉並区の田中良区長は「地方と共存共栄するエネルギーがそがれる」と批判する。

文京区は企業から無償提供された食品を貧困家庭に配る「こども宅食」事業に必要な人件費などを寄付で募る計画だ。成沢広修区長は「ふるさと納税のあり方に一石を投じたい」と話す。

神奈川県内も大幅な減収に直面している。横浜市は79%増の56億円と、全国の市区町村で最大。北海道や東北全体より多かった。事前に見込んでいた48億円も上回り、「影響は大きい」(市財政局)と懸念の声が漏れる。

5億円が流出した神奈川県藤沢市は8月から返礼品を導入。特産品のトマトや豚肉、クルージング体験など約60品目を用意した。担当者は「少しでも流出を減らしたい」と語る。

千葉県内は千葉市が2.5倍の10億円だった。17年度からは返礼品に市の名所を周遊するクルーズ船のチケットを追加した。このほか、球場見学ツアーや花火大会ペアチケットなども用意しているが、「千葉に関心を持ってもらえるもの」(市資金課)に限っており、減収覚悟で返礼品競争と一線を画している。

埼玉県内で減収額が最大だったのはさいたま市で、82%増の16億円だった。さいたま国際マラソンへの参加資格などを返礼品にしており、地域に愛着を持ってもらうことを目指す。返礼品競争の過熱を受け、17年度に返礼品を廃止した所沢市は寄付金の使途を今年1月に開館した「こどもと福祉の未来館」の備品拡充などと分かりやすく紹介することを検討している。

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