消費者庁 拠点が始動 徳島、全面移転へ官民支援
消費者庁が徳島県庁10階に新設した政策研究拠点「消費者行政新未来創造オフィス」が24日、業務を開始した。同庁や国民生活センターの職員ら約50人が勤務し、新たな消費者政策の実証実験やその効果分析などをする。同庁の徳島への全面移転につなげるため、地元は新拠点が大きな成果を上げられるようサポート体制を整える。全面移転の是非は3年後をメドに判断される見通し。
開設式には長坂康正内閣府政務官が出席、「全国各地の消費者の真に豊かな暮らしをつくるため、存分にチャレンジしてほしい」と職員を激励した。当初は松本純消費者相が出席する予定だったが、秋田県の豪雨対応で東京にとどまった。
長坂氏らは新オフィスの内部を訪れ、職員が座る机を固定しない「フリーアドレス制」の職場や、ペーパーレス化を進めるための電子白板などを視察。テレビ会議システムで東京と結び、岡村和美長官や松本氏に徳島側の様子を報告した。
県は新オフィスの取り組みを支援するため、6月26日に活動スペース「とくしま消費者行政プラットホーム」を開設。県内の企業や大学などと協働する場を提供する。また県内の企業や団体に、社会貢献に配慮した「エシカル(倫理的)消費」に取り組むよう求め、同庁の取り組みに参加しやすいよう下地を整える。
地元経済界も協力姿勢を見せる。徳島県商工会議所連合会の中村太一会長は「人の流れが期待できるし(県外から)徳島を見る目が変わってくる。積極的にお手伝いをしていきたい」と話す。徳島では人口減による人手不足が深刻さを増しており、歯止めにつながることを期待する。
地元が期待する全庁移転に向けたハードルについて、徳島県の飯泉嘉門知事は「(新オフィスの)成果が消費者『省』に結びつく」ことが一つの基準になるとの認識を示した。庁から省へ昇格できるだけの成果を生み出せるよう「挙県一致で応援して参りたい」と飯泉知事は語った。