人工透析予防に民間資金調達 神戸市、三井住友銀などと
神戸市は20日、糖尿病患者が人工透析に至るのを予防する事業を対象に、民間から調達した資金を公的サービスに使う枠組み「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」を導入すると発表した。事業費はまず三井住友銀行や個人投資家などが出資し、事業後の成果に応じて市が還元する。SIBを本格導入する自治体は初めてという。
市は生活習慣病の重症化予防で実績があるDPPヘルスパートナーズ(広島市)と業務委託契約を結ぶ。同社は重症化リスクが高い糖尿病性腎症患者など約100人に、受診を奨励したり食事の指導をしたりする。
事業費は最大約3100万円。腎機能低下の抑制率などを基に市は成果によって対価を三井住友銀などに支払う。事前に定めた成果を達成できれば三井住友銀の出資者などは拠出額を上回るリターンを得られる。
市は民間企業のノウハウを活用し、予防の成果が出た分に公費を投入できる。まず2019年度まで実施し、効果を検証してSIBを医療以外に広げることも検討する。
SIBは2010年に英国で始まった手法。社会課題の解決を図りつつ経済的利益を得られるとして、海外で60件以上の実施事例があるという。
神戸市の久元喜造市長は20日の記者会見で「人工透析では時間的、金銭的コストが負担となっている。市民の生活の質向上と医療費抑制を目指す」と発言した。
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