2018年7月18日(水)

介護ロボット普及へコンサル 埼玉県の産業振興公社

2017/7/19 7:01
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 埼玉県産業振興公社は、介護施設が介護ロボットを有効に活用するためのコンサルティングを始めた。国や自治体による補助金により、介護ロボを導入する施設が増えているが、現場のニーズに合わずに利用されなくなるケースが多い。先導役の施設を育て、模範事例として県内に広く普及させるとともに、ロボット関連企業と課題を共有して市場の開拓を図る。

 コンサルティングは、新たな成長産業を創出する県の先端産業創造プロジェクトの一環として実施する。2018年3月まで月に1回程度、公募で選んだ特別養護老人ホームの安誠園(同県本庄市)と悠う湯ホーム(同県皆野町)の2つの施設に専門家を派遣する。現場の課題や介護ロボ導入の目的を整理し、介護ロボを継続的に活用する仕組みづくりを支援する。

 2つの施設の取り組みは、介護施設や介護ロボット関連企業の関係者が集まる埼玉県リハビリ・介護研究会で年度末に成果を発表するほか、取り組みの過程も中間発表や見学会のかたちで紹介して他の施設にも波及させる。現場の需要をフィードバックし、使い勝手の良い介護ロボの開発に反映させることも狙う。

 安誠園は「マッスルスーツ」、悠う湯ホームは「HAL」と、いずれも移乗介助のための装着型の装置を2月に導入したが、職員は利用に消極的だった。コンサルティングを受け、活用方法の見直しを進めている。

 安誠園は「当初はお風呂に入れる時の引き上げる動作に効果があると考えていたが、中腰の体勢が続く作業が適している」とオムツ交換に使っている。腰の負担の軽減につながっているかなどを記録シートで検証しているという。

 悠う湯ホームは「腰痛持ちというだけでは継続しない。介護ロボで楽になる分、利用者とのコミュニケーションに注力できることなどを職員と再確認したい」という。採用説明会などで実演してPRにつなげる取り組みも進める。

 介護業界は人手不足感が強まっている。県内で働く介護職員は、厚生労働省の調査によると13年度で推計7万723人。年々増えてはいるものの、25年には約12万1千人が必要になる見込みだ。何も施策を打たなければ約2万7千人が不足するとの推計がある。

 介護ロボは国や県が16年度に購入費の補助を実施した。県の補助金は30施設が利用するなど、導入する施設は急速に増えているが、同公社の関口史郎・先端産業コーディネータは「装着が面倒などの理由で使われなくなるケースがほとんど」と指摘。「介護ロボでどのような課題を解決するかを明確にし、現場が自主的に利用できるようにしなければ、有効活用につながらない」と話す。

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