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日欧EPA大枠合意、首脳協議できょう宣言

【ブリュッセル=羽田野主】日本政府と欧州連合(EU)は経済連携協定(EPA)交渉の大枠合意を6日の首脳協議で宣言すると決めた。岸田文雄外相は5日午後(日本時間同日夜)、訪問先のブリュッセルでマルムストローム欧州委員(通商担当)との協議後、「閣僚間で大枠合意の達成を確認できた」と表明した。日欧間で関税がなくなる品目は全体の95%超に達する見込み。世界の経済・貿易の3割を占める大経済圏が誕生する。

大枠合意した内容は、6日の安倍晋三首相とトゥスクEU大統領との首脳協議で正式に決める。EU高官は「最終的な合意には数カ月かかる」と語り、今回の大枠合意で詰めきれなかった部分を含めた最終合意は、年内に実現できるとの見通しを示した。

首相は5日の欧州歴訪出発前に「日欧EPAはアベノミクスの重要な柱だ」と強調。日欧EPAの大枠合意をテコに、米国を除く11カ国での環太平洋経済連携協定(TPP)の発効を目指す「TPP11」の交渉進展にもつなげたい考えだ。

欧州側も7日から独ハンブルクで始まる20カ国・地域(G20)首脳会議を前に、自由貿易を重視する姿勢を強調するため大枠合意を急いでいた。

岸田氏は協議後、記者団に「大枠合意によって保護主義的な動きのなかで世界に前向きで大きなメッセージを送ることができる」と意義を強調した。「日・EUが世界に範を示すに足る内容だと自負している」とも述べ、日欧が自由貿易を主導していく考えを示した。

大枠合意の内容は首脳協議後まで明らかにされない。これまでの交渉で日欧が貿易品目の95%超で関税を撤廃することになった。これはTPPと同じ程度の自由化水準だ。関税撤廃する品目のうち、交渉が難航したのは欧州産チーズと日本産乗用車の扱いだったが閣僚級協議でメドがついた。

欧州側が市場開放を求めたチーズは、日本側が欧州産チーズに低関税で輸入する新たな枠を設け、枠内の税率を15年かけてゼロにする見通し。欧州側は、日本車にかける関税(最高10%)を協定発効後7年かけて撤廃する方針となった。

このほか、日本側は欧州産ワインにかかる関税(ボトルワイン1本で約93円)を即時撤廃する方針。欧州産の豚肉やパスタ、木材などの関税も削減・撤廃でほぼ決着し、欧州側も日本産の緑茶・日本酒にかける関税を即時撤廃する。

大枠合意後も、引き続き日欧間で協議を続け、年内には最終合意する方向。協定が発効すれば日本の消費者にとっては欧州産ワインやパスタ、チョコレートを今よりも安く買えるようになる。一方、日本から欧州には自動車や日本酒を売りやすくなる。

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