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「15メートル津波」の試算が焦点に 原発事故初公判

「高さ10メートルの敷地を超えて津波が襲来するという衝撃的な試算を認識しながら、漫然と原発の運転を続けた」。検察官役の指定弁護士は30日の初公判で、安全に対する電力会社経営陣の責任を厳しい言葉で指摘した。

指定弁護士が「衝撃的」としたのは、東日本大震災の3年前、2008年に東電が得た試算だ。政府機関の長期評価を基に15.7メートルの津波が起こる可能性に触れた。当時、福島第1原発では5.7メートルの高さまでしか想定していなかった。

ただ、試算への評価は割れる。3人を2度にわたり不起訴とした東京地検は「巨大津波の襲来を予見できたと認めるのは困難」と結論づけた。基になった長期評価の信頼度はそれほど高くはなく、東日本大震災ほどの巨大地震を予測するのは難しかった、とした。

裁判では、この試算が東電社内でどのように検討されたかも焦点になる見通しだ。

指定弁護士の冒頭陳述によると、08年3月に試算がまとまった後、6月には担当者が原発担当執行役員だった武藤栄元副社長に説明。担当者は「原子炉建屋を守るには、海抜10メートルの敷地に10メートルの防潮堤を設置する必要がある」と伝えた。武黒一郎元副社長もその後、報告を受けた。

武藤元副社長は、津波の影響を小さくする方法や、沖に防潮堤を設けるための許認可手続きについて検討を指示した。しかし7月に再度の説明を受けて「当面は従来の評価基準で津波対策を検討する」と判断。専門家でつくる土木学会に調査を委ねるよう指示し、対策は取られなかった。

勝俣元会長は地検の調べに対し「試算の報告は受けていない」と説明。だが、指定弁護士は「御前会議」と呼ばれる幹部らの打ち合わせで、09年2月に部下が「14メートル程度の津波が来る可能性があるという人(専門家)もいる」と発言したことを挙げ、元会長も巨大津波を予見していたと述べた。

原発の担当者らは試算の信頼度をどう評価していたのか、必要な対策をどう検討し、なぜ先送りしたのか。関係者の証人尋問を通じて、これまで明らかになっていなかった08年当時の状況が判明する可能性もある。

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