2019年1月19日(土)

東芝半導体、晴れぬ視界 総会までに契約できず

2017/6/29 1:31
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東芝は半導体メモリー事業売却で、期限としていた28日開催の定時株主総会までに契約を結べなかった。優先交渉先に選んだ産業革新機構が率いる日米韓連合と調整を続けるが、東芝の綱川智社長は総会で「早期合意を目指し、鋭意交渉中」と話すのにとどまった。メモリー事業売却にとどまらず、有価証券報告書の提出の遅れや追加損失リスクなど難題を抱えたままで、再建への視界は依然、晴れていない。

契約締結が総会に間に合わなかったことで、すぐ売却が頓挫するわけではない。しかし、これまでも決算発表の延期などで信用が低下しており、改めて見通しの甘さを露呈した。

契約締結は発表できなかったが、東芝は28日、協業する米ウエスタンデジタル(WD)に絡んだ3つの策を発表した。「提訴」「東芝が管理する情報システムへのアクセス遮断」「東芝単独投資も辞さない四日市工場(三重県四日市市)での増強計画」だ。

日米韓連合との売却締結に向けた動きとみられる。しかし他社への売却に反対するWDは米国で提訴しており、7月14日(米国時間)に売却差し止めが決まるリスクがある。その場合、東芝は日米韓連合と再協議するが、不透明要因は多い。

半導体売却以外でも、東芝が難路にあえぐ状況は変わっていない。米原子力発電事業での巨額損失の判明時期などを巡り、PwCあらた監査法人との溝が埋まらず、2017年3月期の有価証券報告書の提出期限を6月末から8月10日に延期した。今後もPwC側と対話を続けるが、この状況が続けば上場廃止になるリスクがある。

追加の損失リスクもある。15年に発覚した会計不祥事で損害を受けたとする投資家からの賠償請求が徐々に膨らんでおり、6月中旬には1千億円を超えた。今後も増える可能性がある。元連結子会社の米原子力大手ウエスチングハウス(WH)に対する親会社保証額が増える可能性も否定できない。

米テキサス州で手掛ける液化天然ガス(LNG)の供給事業にも懸念がある。19年から20年間にわたり、東芝がLNGを米社から引き取る内容だが、販売先が確保できなければ、損失が膨らむリスクもありそうだ。

こうした現状のなか、三井住友銀行やみずほ銀行など主要行は資金繰りを当面、支える姿勢を崩していない。「足元で資金繰りが逼迫しているわけではない」(銀行関係者)としている。ただ、17年度中の債務超過解消は、支援を続けるうえで銀行団にとって譲れない一線で、今後さらに売却圧力が東芝にかかる可能性もある。

中長期の東芝の事業運営に向けては、人材の流出懸念がある。東芝単体で毎月100人規模が退社しているもようだ。経営再建に向けた道筋を固めるのが遅れれば、組織弱体化が食い止められない。

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