アサヒ、チェコのビール「ウルケル」を日本に投入
【ピルゼン(チェコ西部)=原克彦】アサヒグループホールディングスは2018年に、著名なチェコのビール「ピルスナーウルケル」を日本で売り出す。小路明善社長がピルゼンでの記者会見で表明した。アサヒの販路を活用することで、ウルケルのブランドをより広く浸透させる。買収した東欧事業を最大限に生かし、日本国内での品ぞろえを広げるのに役立てる。
ウルケルは現在、別の輸入会社が日本での販売権を持つ。小路社長は「販売権の(獲得に向けた)交渉はほぼ終了している」と述べ、来年から自社販路で提供する考えを示した。プレミアムビールとしての地位を確立することを重視し、「量を追わず、(ブランド価値を理解する)合った消費者に提供していきたい」と語った。
ピルゼンは多種類あるビールの中で最も一般的な「ピルスナータイプ」の発祥地として知られ、同地の工場で醸造されるウルケルは伝統に裏付けられたブランド力を持つ。クラフトビールが人気を集めるなど、消費者が多様な商品を求める傾向が強くなっているのに対応するのに適しているとみている。
アサヒの主力商品「スーパードライ」を東欧で売り出す計画については「来年、いつでも始められる体制は整えている」(小路社長)とした。ノンアルコールビールなどの商品開発で、アサヒの技術を東欧子会社で生かしていくことも明らかにした。
アサヒは今春にビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)から旧SABミラーが保有していた東欧5カ国の事業を約8700億円で買収。チェコ、ポーランド、ハンガリーなどで高いシェアを誇る。