30代前半も出生率低下 育児環境・働き方改革が急務

2017/6/3 1:55
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 日本の少子化に歯止めがかからない。厚生労働省が2日発表した人口動態統計によると、2016年の出生数は100万人を割り込んだ。上向く兆しのあった出生率も伸び悩む。政府は「一億総活躍」を掲げ、経済の活力向上に取り組むが、肝心の人口維持は絶望的。流れを変える思い切った政策が問われる。

 出生数のピークは1949年の269万6638人。当時は団塊の世代が生まれた第1次ベビーブームのころ。今はこの3分の1程度しかない。

 ▼高齢者向け政策優先

 出産適齢期の女性の数が減り、未婚率が上昇したのが響いている。これまで出産適齢期の人数が減っても、30代の出生率は回復していたが、16年は30代前半の出生率が11年ぶりに低下。20歳代の出生率は低下傾向が続くだけに、30代の失速は今後に尾を引く。

 日本の社会保障は年金・介護など高齢者向けの対策が優先され、出産・育児支援は後回しにされがちだった。少子化対策の財源も乏しい。今年度の社会保障関係予算(約32兆円)のうち、少子化対策費は約2兆円。厚労省は、保育の受け皿整備の遅れなど、子育て環境が整わないことを少子化に歯止めがかからない一因とみる。

 ▼保育所整備も進まず

 だが、待機児童解消策として進める保育所整備は、新たに22万人分の確保を目指すが、予算の手当てはこれから。幼児教育や保育の費用を賄う「こども保険」構想も浮上するが、政府・与党内で結論が出るまでにはなお曲折がありそうだ。

 ▼働き方改革実行カギ

 未婚率の高さも不安材料だ。国立社会保障・人口問題研究所によると、15年の生涯未婚率は男性が23.37%で5年前より3.23ポイント増、女性は14.06%で同3.45ポイント増。結婚しない選択もあるが、収入が安定せず、結婚したくても踏み切れない人は多い。

 第一生命経済研究所の熊野英生氏は「若者の正社員雇用など、結婚したい若者が結婚できる社会・経済環境をつくることが不可欠」と語る。働き方改革による非正規労働者の待遇改善や長時間残業の是正など子どもを産み育てやすい環境づくりを急ぐ必要がある。

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