世界のオフィスビル価格上昇率、東京が首位から陥落

2017/5/25 22:31
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東京のオフィスビルの価格上昇の勢いが鈍ってきた。日本不動産研究所(東京・港)が25日発表した4月時点の世界主要都市の不動産調査によると、価格上昇率が前回調査(2016年10月)と比べて1.6ポイント低い1.8%にとどまり、6半期ぶりに上昇率の首位から陥落した。新規ビルの大量供給を控えて賃料上昇への期待が後退し、高値警戒感を強める投資家が増えたことが背景だ。

調査は毎年4月と10月に実施している。東京や上海、ロンドンなど欧米・アジアの14都市を対象に、同所の不動産鑑定士が新築のビル価格や賃料を評価。10年10月時点を100として指数化している。

今回の調査で東京のオフィスビルの価格動向を示す価格指数は139.8と前回調査から2.5ポイント上昇。9半期連続で上がったが、上昇率は14都市中で6位に後退した。

東京では業績拡大に伴う企業のオフィス拡張需要が旺盛で、賃料の状況を示す賃料指数は1.5%上昇した。現時点で賃料は伸びている一方で、18年以降に都区部で大型ビルが相次ぎ完成する。スペースの増加で、今後は賃料の大幅な上昇が見込みにくいとの観測が、鑑定価格の上昇を抑えた格好だ。

世界的な低金利による運用難を背景に、安定した賃料収入が見込める日本の不動産の投資需要は根強い。特に都内中心部の大型オフィスビルは売り出しが少ないこともあって価格が高騰した。以前は4%超も珍しくなかった投資利回りは3%前後の事例もみられ、利回り低下を嫌う投資家の買いが鈍い。

大阪では上昇率が前回調査より0.8ポイント高い3.7%となり、初めて上昇率の首位になった。東京に比べ価格が安く、オフィスビルの投資利回りは4%程度の事例も多いという。新規ビルの供給が限られている点も好感され、国内外の投資マネーが向かっている。

今回の調査対象ではないが、福岡や札幌など地方中核都市でも同様の理由で不動産取引は活発だ。不動産サービス大手JLLの水野明彦取締役は「当面は東京以外での取引が多い状況が続く」とみている。

価格の下落率が最も大きかったのは前回調査と同じくロンドンだった。ただ下落率は1.6%と前回調査から4.2ポイント改善。欧州連合(EU)離脱が賃料などに与える影響が足元では限定的なのに加え「ポンド安もあって中国などアジアからの新規投資が目立った」(日本不動産研究所の慎明宏氏)。ニューヨークは米国の利上げが逆風で、0.3%の小幅な上昇にとどまった。

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