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慶長三陸津波はM9地震か 海底断層、最大80メートルずれ

江戸時代初期の1611年に東北地方の太平洋岸を襲った「慶長三陸津波」を起こしたのは、従来の想定より大きいマグニチュード(M)9.0の超巨大地震だったとする研究結果を、北海道大の谷岡勇市郎教授(地震学)らのチームがまとめた。東北沖で長さ250キロの海底断層が最大80メートルずれたとしている。

2011年のM9.0の東日本大震災は「想定外」といわれたが、東北沖では400年前にもM9地震があったと指摘する内容。谷岡教授は「慶長は思ったより規模の大きな地震のようだ。断層が特に大きくずれた岩手沖にはひずみがあまり残らず、東日本大震災でも大きく動かなかった可能性がある」としている。

慶長三陸津波の浸水域は東日本大震災と同程度か上回っていたとされる。ただ原因となった地震についての詳細は分からず、規模もM8.1と評価されていた。

チームは、以前東北大の研究者らが古文書などを基にまとめた慶長三陸津波に関する16地点のデータに注目。津波が▽岩手県山田町の海抜約28メートルの峠を越えた▽現在の海岸から7キロほど内陸の宮城県岩沼市の神社に到達した――などの記録に最も整合するような津波を起こすプレート境界の地震と震源断層を推計した。

その結果、地震の規模はM9.0、断層は幅約100キロ、長さ約250キロと推定。断層は北側の100キロと南側の150キロに分かれ、北側は最大80メートル、南側は40メートル程度ずれたと判断した。南側は東日本大震災の震源域で最も動いた領域と同じで、大震災では最大50メートルずれたと考えられている。

慶長三陸津波の地震は比較的揺れが弱かったとされる。断層がゆっくりとずれ、地震の規模が大きい割に揺れは弱い一方で津波が大きくなる「津波地震」に当たり、揺れが強く津波も大きい東日本大震災とは異なるタイプとされている。〔共同〕

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