日通、全取引先に値上げ要請 数十万社が対象

2017/5/10 1:45
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物流最大手の日本通運は9日、企業向け物流を引き受けている全ての取引先に値上げを要請する方針を明らかにした。対象は数十万社に上る。トラック運転手の人手不足で配送を外部に委託する費用が増えており、コストに見合った運賃を荷主に求める。宅配最大手のヤマト運輸に続き、値上げの波が物流業界全般に広がってきた。

同日開いた2017年3月期決算の記者会見で、林田直也取締役は「外注費や燃料費が上がっており顧客に転嫁せざるを得ない」と述べた。日通は宅配便からは撤退しているが、企業間の商品配送や倉庫の運営を広く手掛ける。配送を外部の運送会社に委託する費用が膨らんでいる。

林田取締役は「すべての顧客に満遍なく値上げを要請しないといけない」とし、全取引先の数十万社と交渉していく考えを示した。値上げ幅は明言しなかったが、平均数%になるとみられる。

日通はこれまでも採算の悪い契約を結んでいる取引先に値上げを求めてきた。17年3月期は一部取引先との値上げ交渉が妥結し25億円の増収効果があったが、外注費の拡大でほぼ相殺された。

企業向けは小口の宅配ほど配送先が多いわけではないが、やはり人手不足は厳しい。18年3月期の外注費は単体で4412億円と前期比62億円増える見込みで、対策が欠かせない。

人件費は17年3月期に単体で2565億円と同24億円増えたが、退職給付に関する費用の増加が主因。ヤマト運輸で問題となったサービス残業の未払いはなく、「過大な費用は発生していない」(林田氏)と説明した。

人件費や外部委託費の拡大による業績悪化は業界全体の課題で、陸運各社が対策に乗り出した。

ヤマト運輸は消費者を対象とする宅配便の基本運賃を9月に平均15%引き上げることを決めた。割引運賃が適用されている大口顧客1000社とも9月末までの妥結をめざして値上げ交渉を進める。佐川急便と日本郵便も採算の悪い契約を結んでいる大口顧客に値上げを求める方針だ。

物流大手の相次ぐ値上げにより、中小の運送会社もコストに見合った運賃を荷主に求めやすくなるとみられる。荷主が物流費の増加を商品価格に転嫁すれば、消費者の負担が増えることになる。

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