2019年5月26日(日)

JR北海道の前期、初の経常赤字 基金依存の経営に限界

2017/5/10 7:01
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JR北海道が9日発表した2017年3月期の連結決算は、安全関連投資が過去最大に膨らむなかで一段と財務状況が悪化した。経常損益は103億円の赤字(前の期は54億円の黒字)と初めて赤字に転落。鉄道事業で生じる多額の赤字を経営安定基金の運用益で補う構造が限界を迎えつつある。同社が打ち出した不採算路線見直しの行方も不透明で、経営の厳しさが増している。

9日、札幌市の本社で記者会見した小山俊幸常務は「グループの力を結集しても赤字を解消できない。非常に重く受け止めている」と険しい表情を見せた。

17年3月期の連結営業損益は398億円の赤字(前の期は352億円の赤字)と過去最大に膨らんだ。中核の鉄道運輸収入は北海道新幹線の開業効果が通年で寄与し、昨夏の台風被害による一部運休の影響を補って727億円と6%の増収となった。一方、安全投資では修繕費が337億円、車両更新などの減価償却費が247億円とそれぞれ過去最高額を計上し、収益を圧迫した。

追い打ちをかけたのが、低金利などによる基金運用益の減少だ。国鉄分割民営化時に国が想定した収益水準の半分に満たない236億円まで目減りし、営業赤字を穴埋めしきれなくなった。前の期は含み益のある株式や債券を売却してしのいだが、再び同様の手段を取ると将来の運用益減少を招くことから見送った。

子会社による不動産賃貸やホテル事業の利益は増えたものの、石勝線の新夕張―夕張間の廃線を見据えた評価額見直しによる特別損失などで、最終損益も148億円の赤字(前の期は84億円の黒字)と5期ぶりの赤字に転落した。手元資金は借入金で17%増の184億円に上積みしたが、低水準が続く。

先行きも依然として厳しい。18年3月期は引き続き車両更新などで過去最大の295億円の安全関連投資を実施するため、連結営業赤字は415億円に拡大する見通しだ。

同社の島田修社長は「事業範囲の見直しによる抜本的な経営構造改革を不退転の決意で進める」構えだが、見直し対象路線の地域協議は緒に就いたばかり。経営難を打開する道筋はまだ見えない。

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