フェイスブック、ARで先回りの防御網
有望機能拡充し競合の芽摘む

2017/4/20 0:26
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【シリコンバレー=小川義也】世界最大の交流サイト(SNS)、米フェイスブックが急成長する写真共有アプリの米スナップに対して攻勢を強めている。18日にはスマートフォンのカメラを使ったAR(拡張現実)機能の拡充策を発表。ライバルのお株を奪う戦略に出た。脅威の芽を小さいうちに摘もうとする姿は、世界で19億人近くにまで膨らんだ巨大な「経済圏」を守ろうとする王者の焦りにも映る。

講演するザッカーバーグCEO(18日、カリフォルニア州サンノゼ)

「カメラを最初のARプラットフォームにする」。シリコンバレーで18日開いた年次開発者会議「F8」で、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は世界各地から集まった4000人のソフトウエア開発者を前にこう宣言した。

2004年の創業以来、フェイスブックは絶えず新たな機能やサービスを追加して利用者を拡大。友人や家族だけでなく、企業と消費者をつなぐ「ビジネスプラットフォーム」として、いまや欠かせない存在だ。

利用者一人一人の交友関係から興味・関心、位置情報まで膨大なデータを握る同社には、巨大市場へのアクセスを求めて企業が殺到。広告主は500万社を超える。16年12月期の連結売上高は前期比54%増の276億ドル(約3兆円)、最終利益は約3倍の101億ドルと足元の業績も絶好調だ。

はやり廃りが激しいソーシャルメディアの世界で、王者として君臨し続けているフェイスブック。その一因は、自らを脅かす存在になりうると判断した競合相手に対し、早め早めに手を打つザッカーバーグ氏のしたたかさにある。

12年には7億ドルで写真共有アプリの「インスタグラム」を買収。14年には218億ドルという巨額で対話アプリ「ワッツアップ」を傘下に収めたのは好例だ。

ザッカーバーグ氏は4年前、スナップの買収も試みたが失敗に終わった。今回発表した写真や動画にデジタル画像を重ねて楽しむAR機能や、昨年インスタグラムに導入した24時間で写真が消える機能は、スナップの写真共有アプリ「スナップチャット」を臆面もなくまねたもの。今年3月に上場を果たし、勢いに乗るスナップが本格的な脅威に育つ前にたたいておこうという執念に近い意図が透けて見える。

「グローバルなコミュニティーを築く」という新たな目標を掲げ、貪欲に成長を目指すザッカーバーグ氏。膨張を続ける「フェイスブック経済圏」に限界はまだ見えない。

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