「森友」質問で打ち切り 野党、態度を硬化
与党は14日に予定していた介護保険関連法改正案の衆院厚生労働委員会での採決を急きょ12日に踏み切った。民進党議員が法案審議と関係のない学校法人「森友学園」(大阪市)に関して安倍晋三首相に答弁を求め、委員会運営が紛糾したことが理由としている。野党は「国会議員の質問権の侵害だ」と反発し、他の法案審議にも応じない構えも見せている。
衆院厚労委の田村憲久理事(自民)は12日、採決の理由について記者団に「法案以外のことを質問するなら十分質疑をしたという証拠だ」と説明。森友問題を質問した野党側に原因があるとの立場を示した。
同問題を質問した民進党の柚木道義氏は採決後に「政権が認めない質問ができなくなる。国会議員の質問権の侵害だ」と批判した。同党はこれまでも衆参の各委員会で森友学園の問題を追及しており「幕引きを急ぐ首相官邸の意向を与党が忖度(そんたく)した」(同党関係者)との見方を強めている。厚労委の丹羽秀樹委員長(自民)の解任決議案を提出することも検討している。
民進党の山井和則国会対策委員長は採決後、国会内で記者団に「国会は不正常になった」と強調した。犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の実質審議入りにも「現時点では応じられない」と語った。自民党の竹下亘国対委員長は同日夜、山井氏に電話し、事態収拾を呼びかけた。