2019年8月20日(火)

東芝半導体の応札額低調 10社前後が名乗り

2017/3/30 2:00
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東芝は29日、分社する半導体メモリー事業への出資を募る1次入札を締め切った。競合企業や取引先、ファンドなど10社前後が名乗りをあげた。東芝は同事業の価値を1兆5千億~2兆円と見積もり巨額損失の穴埋めに充てる考えだが、応札企業の出資額は想定より伸び悩んだもようだ。

「少なくとも2兆円と考えている」。東芝の綱川智社長は同日の記者会見で、同事業の価値をこう強調した。今後は応札企業との個別交渉に入り、1~2カ月後の2次入札に向けて出資金額を引き上げていく。だが応札企業のなかには「1兆5千億円も出せない」との声もあり綱引きが続きそうだ。

生産分野で協業する米ウエスタンデジタル(WD)のほか、韓国SKハイニックスといった競合企業も応札した。取引先の台湾鴻海(ホンハイ)精密工業、複数の半導体企業、欧米ファンドも名乗りをあげたもよう。2兆円規模の入札もあったが、東芝は金額だけでなく雇用維持や相乗効果を慎重に見極める方針だ。

東芝側が支援を要請したこともあり、政府系の日本政策投資銀行や官民ファンドの産業革新機構も出資検討を始めている。東芝側はこれら企業からの提案を引き続き募りながら、個別企業と交渉する。

メモリー事業の価値を1兆5千億~2兆円と見積もる東芝。これは米同業サンディスクがWDに買収された際の170億ドル(約1兆9千億円)という買収価格を基準にしたもの。ただサンディスク買収は市況が好転してきた2016年5月に完了した。18年3月末の完了をめざす東芝のメモリー事業がサンディスクと同水準で売却できるかは不透明だ。

市況悪化の予兆を察知したファンド勢は金額を低く設定し出資を提案。新会社に出資後、上場させたり他社に売却したりしてキャピタルゲイン(資産売却益)を狙うファンドは、今後のメモリー市況を懐疑的に見ているようだ。

一般的に安く買いたい応札企業側としては「意思表明の場」でもある1次入札は低く金額提示をする傾向が強い。東芝側は今後の個別交渉で金額を引き上げていく構え。東芝は「入札状況を見て『交通整理』をする必要がある」(幹部)としており、複数企業の出資提案を組み合わせるなどして有利な条件を引き出そうとしている。

国内工場の維持や18年3月末までの売却完了といった条件を提示する東芝側と出資企業側の思惑は複雑だ。さらに日本政府は「技術流出の観点から中国・台湾勢への売却は厳しい」(経済産業省幹部)という方針を示しており、売却先の選定にはなお時間がかかる見通しだ。

東芝は16年3月、医療機器子会社の東芝メディカルシステムズを6655億円でキヤノングループに売却した。その入札の過程で、キヤノン富士フイルムが競ったことで売却金額が跳ね上がった経緯がある。メモリー事業の売却でも複数の陣営が高値で競り合う構図となるか。東芝の債務超過解消の鍵を握る。

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