2018年8月22日(水)

NTT、脱・内向きなるか 「つながる車」トヨタと提携

2017/3/27 23:32
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 トヨタ自動車NTTは27日、コネクテッドカー(つながる車)分野で協業すると正式発表した。将来の自動運転車につながる次世代技術を共同開発する。NTTはトヨタとの提携をテコに出遅れた自動車分野に本格参入する。豊富な研究開発陣を持ちながら新製品やサービスに落とし込むのが苦手な「コップの中の巨人」が脱皮できるか、改めて問われている。

 「リベンジ・マッチ」。昨年、NTTはトヨタの車載用通信分野での窓口業務を巡ってKDDIと競ったが敗れた。NTTグループの研究者は総勢で5500人。300人ほどのKDDIに負けたのは屈辱的だった。

 今回の協業メニューから垣間見える真の狙いは自動運転だ。NTTはグループ総出で多彩なメニューを用意、トヨタを射止めた。速度10倍超の第5世代(5G)通信、車の頭脳になる人工知能(AI)、車とインフラをつなぐビッグデータ解析――。

 外部のクラウドと切り離し、近くのモノとモノを短距離通信でつなぎデータをやりとりするエッジコンピューティング。データの送受信が瞬時にできるため、他の車が思わぬ動きをした場合で衝突を防げる。ファナックもこの技術に注目、次世代ロボットと通信を駆使した「つながる工場」の開発でNTTに協力を求めた先進技術だ。

 ただ、このような成功例はまだ少ない。研究テーマの多くがNTTグループ向けで、そもそも実用化を前提としない研究も多い。過去にNTTグループは米AT&Tワイヤレスなど海外大手5社に2兆円近くを投じたがいずれも頓挫。「iモード」も世界展開できずにガラパゴス化した。内向き体質は「提携下手」の原因とも言え、他社との提携で目立った成果は出ていない。

 「これまでは自分たちが主役という意識が強すぎた」。NTTの鵜浦博夫社長は体質を改めようと、異業種パートナーの黒子になれと社内で訴えた。Jリーグや松竹など、なじみのない相手との提携を次々と決めたのも体質改善のためだ。

 一方のトヨタもまた、自前主義の意識が強い。だが通信やAIが自動車産業の勢力図を塗り替えようとする事態を前に危機感が高まっている。トヨタも米配車ウーバーテクノロジーズなどとの連携に乗りだした。

 ただ、世界に目を向ければ車とIT・通信との融合はもっとダイナミックだ。

 車両の共有サービスですでに100万人の会員を持つ独ダイムラー。5Gなどを使う自動運転技術では独アウディ、独BMWを巻き込み、半導体や通信機器メーカーとの連合体を形成し始めた。米グーグルも自動運転でホンダやフィアットクライスラーと提携した。米ゼネラル・モーターズは2代続けて通信会社からトップを招き、米AT&Tとの提携やIT企業との買収を次々進めた。

 NTTは今回の提携を機に車向け通信規格で世界標準も狙う。脱・内弁慶という共通の課題を抱える両巨人は走り出す。     (杉本貴司)

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