トップ > 特集 > 関西発 > ビジネス > 記事

関西発

フォローする

11月6日の電子版のリニューアルに伴い、特集「関西発」は「地域」セクションに移りました。「関西発」のコンテンツは「地域」セクションの「関西」でご覧頂けます。

ウエアラブル 装着進む神戸(関西は今)
市民参加 官民で実験 子供見守り、居場所細かく通知 マラソン、 走者位置を応援者に

2017/3/25 2:30
保存
共有
印刷
その他

身につけて使うウエアラブル端末の普及に向けた試みが関西で活発になってきた。神戸市は企業と組み、位置確認の機能を持つタグを小学生の見守りに活用する町ぐるみの実験を拡大する。京都や大阪の企業でもユニークな開発が相次ぐ。官民の取り組みが進めばスポーツ、医療などにも利用範囲が広がりそうだ。

BLEタグを身につけた子供が受信機のそばを通ると保護者に位置情報が通知される

BLEタグを身につけた子供が受信機のそばを通ると保護者に位置情報が通知される

神戸マラソンでの位置情報検知率はゴール付近でぼぼ100%だった(神戸市)

神戸マラソンでの位置情報検知率はゴール付近でぼぼ100%だった(神戸市)

「神戸市中央区下山手通4丁目、17時10分」。神戸市に住む会社員、佐久間健さん(44)のスマートフォン(スマホ)には毎日、市内の小学校に通う長男と長女が登下校時や習い事への通学時に歩いた場所が複数回届く。「居場所が定期的に分かって安心」と佐久間さんは満足げだ。

■無料で小型タグ

神戸市が昨年9月にNTTドコモと始めた子供の見守り実験だ。同社は無線通信を使った小型の位置情報発信器(BLEタグ)を無料で貸す。これを子供のランドセルなどにつけると、受信機のある施設や検知アプリを入れたスマホ所持者のそばを通った際、保護者に位置情報が逐次通知される。市内5校の校区を中心に実施している。

実験は2月までの予定だったが、保護者に好評なことから9月まで延長し、導入校も増やす。コンビニやタクシー会社などと連携しており「協力者が増えれば見守りの精度は高まる」(神戸市創造都市推進部の長井伸晃担当係長)。

神戸市は神戸大学の塚本昌彦教授やIT(情報技術)企業と組み、ウエアラブルを使った市民サービスや新ビジネスを検討してきた。「普及には商店街や交通機関を含めた地域の連携が欠かせない」(塚本教授)と市一体での実験を推進。ウエアラブル産業の集積を目指す。

■手芸にも応用

地元企業ではシステム開発の神戸デジタル・ラボ(神戸市)が通販大手のフェリシモと組み、手芸を支援するアプリを開発した。利用者は眼鏡型端末で作り方の説明動画を見ながら手芸をできる。両手が空くため初心者でも楽に作業ができると好評だ。「意外なところで活用機会を見つければウエアラブル市場は広がる」(村岡正和社外取締役)

昨年11月の神戸マラソンではアシックスが市と組み、靴底などにつけたBLEタグでランナーがどこを走っているかを応援者のスマホに知らせるなどの実証実験をした。同社は過去にもリストバンド型機器などの開発に携わったが「市が整備するウエアラブルのインフラを活用できればスポーツ以外に用途が広がり、利用者が格段に増える」(スポーツ工学研究所の坂本賢志IoT担当マネジャー)と期待する。

(神戸支社 杉浦恵里)

▼ウエアラブル端末
 身につけられる小型の電子機器。腕時計型や眼鏡型に加え、センサーのついた衣料品、通信機能を組み込んだタグも含まれる。矢野経済研究所によると、2016年の国内市場規模は358万5千台となった見込み。アップルの腕時計型端末「アップルウオッチ」などがけん引している。

大阪・京都でも拡大 繊維や衣料 高い親和性

神戸のような町ぐるみの試みは珍しいが、京都や大阪でも様々な企業がウエアラブル市場に参入している。関西にはウエアラブルと親和性の高い繊維や衣料、スポーツの企業が多く、市場拡大の余地は大きそうだ。

グンゼはウエアラブル端末がついた機能性肌着をNECと共同開発した。導電性繊維を編み込み、着用者が猫背になっていないかを電流の差から検知する。スポーツクラブなどで姿勢の矯正などに役立ててもらう。

同社は京都府農林水産技術センター畜産センター(京都府綾部市)などと共同開発中の乳牛向け端末「ウシブル」を5月にテスト販売する。牛に着せた布の乾燥度に応じて水を自動で流し、夏場などに牛の体表面温度が上昇するのを防ぐ。ストレスによる搾乳量の低下を抑える。

導電性繊維の開発を手掛けるミツフジ(京都府精華町)は胸の部分に導電性繊維を縫い込み、心拍数などを計測するシャツ型ウエアラブル端末を発売した。来年、福島県に新工場を設ける。

大学の開発も進む。大阪府立大学工学研究科の竹井邦晴助教の研究チームは、ばんそうこうのように肌につける柔らかい端末を開発した。企業と共同研究を始めており、年内の実用化を目指す。

関西発をMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

電子版トップ特集トップ