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H2A打ち上げ成功 27回連続 技術安定、次は受注獲得

三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日、政府の情報収集衛星を載せたH2Aロケットを種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げた。成功は27回連続。確実性は高まっているが、商業衛星の打ち上げ事業は緒に就いたばかり。米ベンチャーも参戦し競争は激化する。次世代機を投入する2020年度までに、先行勢との差を縮められるか。

「短い打ち上げ間隔は自信になる」。成功を見届けたJAXAの奥村直樹理事長はこう胸を張った。H2Aを前回打ち上げたのは1月24日。これまで最短だった打ち上げ間隔を53日から1日縮め、52日とした。手作業だった打ち上げ後の処理に小型クレーンを導入するなど、業務手順を見直して1日を削り出した。

三菱重工とJAXAが今回、こだわったのが、この打ち上げ間隔の短縮だった。

27回連続でH2Aを宇宙へと無事送り届け、打ち上げ成功率は約97%に達した。国際的な信頼性の目安とされる95%を上回る。確実性は強みだが、打ち上げ頻度が少ないことが課題だった。間隔が空けば、衛星を打ち上げたい顧客を待たせることになるからだ。

両者が打ち上げ間隔の短縮に本腰を入れ始めた裏には、共同開発する次期ロケット「H3」を投入する20年度に向けて海外受注を本格化させたいとの思惑がある。

これまでのように年間4機のH2Aの打ち上げ能力では、日本の政府機関などの官需であっという間に埋まる。17日にH2Aが打ち上げたのも政府の衛星だ。海外の民間企業から受注した案件は2年前にカナダの衛星打ち上げが第1号で、ほかに韓国、アラブ首長国連邦(UAE)からの合計4件にとどまる。

片や欧州のアリアンスペースは年間に10基以上の人工衛星を打ち上げられる。

彼我の差を埋めるチャンスは年間6機を新たに投入するH3の登場だ。短い間隔で打ち上げられる体制を構築することで受注を増やす腹づもり。それに向けて関連設備の対応を含め、今からノウハウを積み重ねる。

ライバルに比べ割高とされる打ち上げコストも削減する。H2Aは米ベンチャーのスペースXに比べ約3割も高いとされ、営業活動で不利を強いられている。JAXAから技術移転を受けてロケットを製造している三菱重工は愛知県の工場を増床し、次期H3の量産に備える。新たにライン生産を導入するなどし、コストを現行の半分の50億円に引き下げる。

大型客船やジェット旅客機「MRJ」で苦戦してきた三菱重工。宇宙ビジネスへの期待は膨らむ。「売上高に占める比率は1%程度だが、成長性を考えるとインパクトは大きい」(関係者)。

H3投入に向けて手を打つ間に欧米勢も手ごわさを増す。スペースXは、打ち上げた後、回収して再利用できるロケットの実用化を目指している。アリアンスペースも開発を外部委託するなどして、20年ごろに投入する次世代機の打ち上げコストを半減させる。

世界の宇宙ビジネスで日本のシェアは1%程度にとどまる。成長の余地は大きいが、ライバルも先を急いでいる。

(市原朋大)

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