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私仕様の服が10日で届く ファストリ、有明オフィス始動

ユニクロを運営するファーストリテイリングの「服づくり」の抜本改革が始動した。同一商品を大量生産して低価格で提供するというこれまでのやり方を見直し、「消費者個人の好みに合わせたサイズやデザインの服を10日で届ける」という試みだ。狙いは需要の読み違いによる在庫の圧縮と顧客の開拓。これまでの成功体験を捨て、新たな改革に乗り出し、伸び悩む業績のてこ入れを狙う。

「我々が取り組んでいるのは、全社の改革運動だ」。16日、東京・江東にあるユニクロ有明オフィス。ファストリは生産から物流、開発、働き方まで含めたすべてをつくりかえる取り組みの総称「有明プロジェクト」の説明会を開いた。2月に稼働した1フロアぶち抜きの1万6500平方メートルの新オフィスで柳井正会長兼社長は力を込めた。

新オフィスには商品企画やマーケティング、生産、物流などの本社機能を担う約1千人のスタッフが移転。縦割りの組織を「シームレス」にすることでコミュニケーションを密にし、意思決定の時間も短縮する。

組織改革とともにファストリは企画から生産、物流まですべての情報をIT(情報技術)で一元化。商品企画に取り組み始めた段階で工場が生産の準備に入るなど、従来のリレー方式を改め一気に時間を短縮する。「生産に7日、配送に3日で10日間で注文から届ける仕組みを構築する」(柳井氏)

実現できれば期中の生産が増え、売れ筋に絞った増産など需要の読み違いを減らすことができる。「つくったモノを売るという所から、消費者が求めているモノだけをつくる」(田中大執行役員)という変革に挑戦する。

ファストリはこれまで半年から一年前に自らデザインを決めて素材を調達、海外の契約工場で縫製して、自前の店舗で売る製造小売り(SPA)でのしあがってきた。しかしそれでも「1年前の企画の商品が並んでいる」(柳井氏)のが現状だ。実際、2015年冬は暖冬に対応できず、既存店売上高は10%も前年を下回った。顧客データの分析などITは米アクセンチュア、物流倉庫は大和ハウス工業と組んでシステムを構築。「売り損じ」を極力抑える体制を整えた。

さらに、「個」への対応もにらむ。これまで肩幅の広さや腕の長さなどで通常サイズが合わない人は、諦めて着る選択肢しかなかった。顧客は店舗やネットを通じて、サイズや色、デザインなどを伝えれば、同様に10日で自宅に届く。ユニクロの店舗で買うのと同程度の価格・料金でサービスを受け付ける見通しだ。

ファストリは昨秋、20年8月期の売上高目標を2兆円引き下げ、3兆円とした。10%を下回る足元の売り上げ成長率では、目標には届かない。今やライバルは「ZARA」などを展開するインディテックス(スペイン)やヘネス・アンド・マウリッツ(H&M、スウェーデン)にとどまらない。米国市場では店舗を持たないアマゾン・ドット・コムがネット通販を通じて衣類販売の大手の一角を占めるまでになってきた。

「個」のニーズまで対応しようとすれば、IT装備をしても生産や物流、販売などそれぞれの現場の負荷が高まる懸念もある。柳井氏が打ち上げる「革命」が成長の壁にぶつかったファストリの再躍進につながるのか。ファストリの挑戦は続く。(岩戸寿)

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