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中古スマホの流通透明化 団体設立、買い取り価格下げ要請

中古スマートフォン(スマホ)を扱うTSUTAYA(東京・渋谷)やゲオ(名古屋市)など8社は14日、中古端末の流通促進に取り組む業界団体を立ち上げた。NTTドコモなど携帯大手3社に中古端末の流通過程の透明化を促し、国内での中古スマホの流通量の拡大を目指す。より安い中古スマホが広く市場に出回るようにすることで消費者の選択肢を増やし、格安スマホのサービスの普及につなげる。

業界団体「リユースモバイル・ジャパン(RMJ)」の設立にはほかに日本テレホンブックオフコーポレーション、中古スマホの卸売りを手掛けるエコケー(東京・新宿)などが参加した。TSUTAYAやゲオなどは中古スマホに専用の通信カードを差し込み、格安スマホのサービスを提供している。加盟企業8社が扱う中古スマホは国内流通量の6~7割を占めるという。

東京都内で記者会見した代表理事企業、携帯市場(東京・千代田)の粟津浜一社長は「端末の買い取り価格を透明化し、安心して消費者に中古端末を使ってほしい」と話した。

調査会社のMM総研(東京・港)によると、2016年度の中古スマホの市場は約226万台となる見通し。ただ、スマホ全体に占める割合は10%に届かないとみられている。市場に出回らない理由は中古端末の大半をNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3社が契約者から買い取っているためだ。

大手3社は他社からの乗り換えや新規契約を対象に中古端末を買い取る価格を高くしている。RMJが公開した資料によると、米アップルのスマホ「iPhone6」の場合、大手3社が乗り換えや新規契約で設定する買い取り価格は2万1600~2万6400円。RMJ加盟企業の平均1万2000円とは1万円以上の開きがある。

消費者にとって、中古スマホは大手3社に持ち込むほうが得になる。買い取り価格を高く設定することで大手3社は利用者を囲い込むとともに買い取った中古スマホは専門業者を介し、アジアやアフリカなど海外市場に販売しているとされる。

安さが魅力となる中古スマホについては「端末が破損した時、格安スマホと組み合わせて安く使いたい時など消費者の中古スマホに対するニーズは高くなっている」(RMJ幹部)。しかし、端末の買い取りが大手3社に偏る現状では日本の携帯市場に出回る中古スマホはなかなか増えない。

消費者が負担する通信料の抑制を目指し、総務省などは中古端末の流通拡大に力を入れている。16年8月には公正取引委員会が中古端末の流通量が少ないことを問題視する報告書を公表。総務省は大手3社に対し、ほかの通信会社での端末の利用を制限する「SIMロック」の解除時期を短くするよう指導した。

RMJは今後、業界団体として中古スマホの買い取り価格を毎月公開。大手3社に「買い取り価格を引き下げるよう訴えていく」(粟津氏)。こうしたRMJの取り組みが大手3社にどこまで対抗できるのかが格安スマホの一段の普及を占う試金石になる。

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