仏スエズ、GEの水処理事業買収 工業用世界3位に浮上
【フランクフルト=加藤貴行】環境サービス世界大手の仏スエズ・エンバイロメントは米ゼネラル・エレクトリック(GE)の水処理事業を買収すると発表した。カナダの機関投資家と組み、32億ユーロ(約3870億円)で事業を買収する。GEは油田や食品、電力などのプラントで使う工業用に強い。スエズは手薄だった工業用水処理の売上高が25億ユーロとなり同市場で世界3位に浮上する見通しだ。
8日に合意した。年金基金などを運用するカナダのケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)と共同で買収する。GEの水処理と、スエズの工業用水処理部門を統合し、新会社にスエズが70%、CDPQが30%出資する。
GEの水処理事業の2016年の売上高は20億ユーロで、7500人の従業員を抱える。測定・制御装置から幅広く製品・サービスを手がける。スエズは欧州などで一般水道の運営受託を手がけるが、工業用は5億ユーロにとどまっていた。買収でフルラインで提供できる体制を整える。スエズは業界の売上高では米エコラボ、米ザイレムに次ぐ3位になる見込み。
スエズは買収の相乗効果として、売上高で2億ユーロ、利益面でも6500万ユーロを見込む。GEの水処理事業は北米が50%を占め、スエズは地域的な補完関係も築けるとみている。
また、GEが強い機器をデジタル制御して保守・点検の時期を予見しやすくするなどノウハウも融合。機器販売だけでなくサービス提案も進め、競争力を高める。
スエズによると、世界の工業用水処理の市場規模は950億ユーロ。各国の環境規制強化や新興国の経済成長で年5%の成長が見込めるという。