東京五輪の経済効果、全国で32兆円 都が30年まで試算
東京都は6日、2020年東京五輪・パラリンピックが全国に及ぼす経済効果を発表した。大会招致が決まった13年から大会10年後の30年までの18年間で約32兆3千億円と試算。全国の雇用増加数は約194万人と見積もっている。

経済効果は、大会開催の直接投資や支出で生じる「直接的効果」と、大会後のレガシー(遺産)で生じる「レガシー効果」に分けて算出した。
直接的効果は、競技会場の整備費、警備や輸送を含む大会運営費、大会観戦者らの支出、企業のマーケティング活動費などを合わせ、約5兆2千億円と試算した。
レガシー効果は、交通インフラ整備、バリアフリー対策、訪日観光客数の増加、競技会場の活用、スポーツ人口やイベントの拡大などにより、約27兆1千億円に上ると推計した。都の担当者は「ロンドン大会を参考にすると、五輪の経済効果は大会後10年くらいは続く」とみている。
経済効果の約32兆円は、13年から20年までの8年間で約21兆円、21年から30年までの10年間で約11兆円と見込む。うち都内が約20兆4千億円と約6割を占めるが、観光需要の拡大などに伴い、都外の地域にも約11兆9千億円の経済効果をもたらすと試算している。
大会に伴う全国の雇用増加数は、直接的効果の約30万6千人、レガシー効果の約163万人2千人とし、うち都内は約129万6千人と推計した。都の担当者は「大会は都内がメイン会場だが、経済効果は地方にも広く及ぶだろう」と話す。
都は招致段階の12年、東京大会の経済効果は約3兆円との試算を発表。その後、競技会場の整備費や大会運営費など経費全体が膨らんだことや、大会後のレガシー効果を初算出したことで大幅に上積みした。ただ、都の試算は経済成長率の変動や大会後の反動減などを盛り込んでいない。
東京五輪の経済効果では、日銀が建設投資や訪日観光客の増加などにより、14~20年の実質国内総生産(GDP)を累計で25兆~30兆円押し上げるとの試算を公表済み。みずほ総合研究所は15年度から20年度までのGDP押し上げ効果を累計約36兆円と推計している。
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