東京・福生市、小3児童全員にiPad貸与 算数の自宅学習用に
東京都福生市は22日、市内の小学校3年生全員に算数の自宅学習用教材としてタブレット端末を無償貸与すると発表した。同市と凸版印刷、慶応義塾大学が連携した学力向上策研究の一環。算数の学習でつまずき始める児童が増える3年生を対象にすることで、学力の底上げを狙う。
米アップル社のタブレット端末「iPad」に凸版印刷が開発した算数の学習ドリル教材ソフトを搭載して貸与する。9月に市内7校の3年生421人と教員など学校関係者29人に配布する。同日発表した2017年度予算案に端末の導入費などの関連経費約1300万円を計上した。
このソフトは算数の教科書を元に作成した計算・文章問題のドリルに各児童が学習時間や点数など目標を設定しながら取り組むもの。自動採点ができるほか、誤答した場合にはつまずきを解消するための追加問題を出す。通信で結んだ教員の端末には学習時間や正答率など児童ごとの履歴情報を送り、翌日の学校での助言に生かす。
同市は15年度から2年間、凸版印刷と学習の効果を検証する中室牧子・慶大准教授(教育経済学)との共同研究で小学校5校で同様のタブレット端末を使った試行実験を実施。自宅学習の時間が増えたり、学力テストの偏差値が上がったりする成果が見られたことから、本格実施に踏み切る。
同市は教育分野での効果的なICT(情報通信技術)の活用策を推進。今後はタブレット端末を他教科のドリル教材や、インターネットによる調べ学習、カメラ機能を生かした体育などにも活用する考えだ。