着床前検査、学会が6施設で開始 「有用性と倫理面、検証」

2017/2/15 0:33
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日本産科婦人科学会(日産婦)は14日、不妊治療の体外受精でつくった受精卵の染色体を調べ、異常がないものを子宮に戻す「着床前スクリーニング」検査の臨床研究を、名古屋市立大学など6施設で始めたと発表した。検査が不妊や流産の予防に効果があるのかどうか検証する。不妊や流産の予防につながる可能性がある一方、倫理面の課題も抱える。

東京都内で記者会見した日産婦の苛原稔・倫理委員長(徳島大学教授)は「海外では不妊や流産を減らせるとの報告がある。有用性の検証とともに倫理面の検討も十分に進めたい」と話した。

晩婚化などで不妊治療を受ける30~40代の女性は増えている。高齢では受精卵の染色体の異常が起こりやすく、不妊や流産のリスクが高まる。

スクリーニングでは体外受精した受精卵を培養皿で育て、一部の細胞を取り出して染色体の数を調べる。正常な受精卵だけを母胎に戻す。検査せず戻した場合と、出産の確率などを比較する。

臨床研究では、35~42歳で、原因不明の流産を2回以上経験した「習慣流産」の女性50人と、体外受精で3回以上妊娠しなかった女性50人にスクリーニングを実施。結果を踏まえて最終的な参加人数を決める。

体外受精は名古屋市立大などが、受精卵の解析は同大や東京女子医科大学などが実施する。慶応義塾大学は学内の倫理委員会で審査中で認められれば参加する方針。

日産婦はこれまで重い遺伝病を避けるなどの目的に限って受精卵の診断を認め、染色体を全般的に調べるスクリーニングは禁止してきた。だが不妊に悩む夫婦の増加などを受け、2015年に臨床研究の実施を決めた。

異常が見つかった受精卵は原則として廃棄されるが、ダウン症などのように必ずしも流産につながらない例もある。東京大学の神里彩子特任准教授は「導入の前に検査の効果を検証しようという姿勢は科学的には意義がある。だが、命の芽を最初に摘める手法だけに、導入には社会的な議論が必要」と指摘する。

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