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NTTが上場30年 株価、配当込みでプラス転換

NTTは9日、上場から満30年を迎えた。株価は今なお、上場した年に付けた高値に遠く及ばない。だが、受取配当額を加味したベースでは、上場時に同社株を買った投資家がようやく報われる水準に達している。

「政府が売り出す株で損をするはずがない」。1987年2月に政府保有株が1株119万7千円で売り出されると、個人投資家は群がった。

直後の4月に株価は最高値の318万円に駆け上がる。個人株主数はバブル末期に160万人を超え、個人投資家の裾野拡大に一役買った。

熱狂が暗転したのはその年の10月。米国の株価が急落したブラックマンデーだった。89年末まで上がり続けた日経平均株価より一足先に株価は下げ始め、バブル崩壊が追い打ちをかけた。90年代初頭には初値の3分の1に低迷した。

30年の時を経て、株主の痛みは癒えつつある。9日の終値は前日比1%高の4863円。2回の株式分割の実施前に引き直すと97万2600円だ。過去30年間の配当金を再投資せず手元に積み重ねると約27万円で、合計では上場時の売り出し価格を5万円弱(4%相当)上回る。

NTTが株主重視に転換したのが背景だ。1株配当は過去10年間で実質3倍に増えた。配当利回りは2%超と市場平均を上回る。政府保有株をいかに円滑に消化するかに重きを置いていた投資家向け広報(IR)も、広く市場参加者を向いたものに変わった。野村証券の増野大作氏は「かつての公社が資本市場と向き合っている。隔世の感がある」と語る。

「『市場の失われた30年』の象徴」(ケイ・アセットの平野憲一代表)だったNTT株。熱狂と長い低迷を経て、今ようやく市場の再評価を得つつあるその姿はそのまま、東京株式市場全体を映し出す鏡でもある。

(竹内弘文)

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