2019年2月21日(木)

香川の閉校跡地で観光農園 スマート農業の種まく

2017/2/8 6:00
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2月上旬、まだ真新しいハウス栽培施設に入ると中は春の陽気で、眼鏡が曇った。足元に土はなく、シートで覆われた床に腰ぐらいの高さの細長い台が整然と並ぶ。その上に青々と茂った葉の間から両端に飛び出すように、たくさんのイチゴが赤く実っていた。

施設があるのは香川県三豊市の閉校となった小学校の運動場だ。クボタグループの農業機械の地域販社、中四国クボタ(岡山市)が昨年9月に整備した。同グループが新たな農業経営を探るため全国15カ所に広げる計画の自社農場「クボタファーム」の1つで、四国でイチゴ観光農園を事業化するモデルとなる。

「がっこうのイチゴ園 財田上」と名付けた施設は広さ2800平方メートル。その半分近くを使い、香川県生まれのイチゴの品種「さぬきひめ」の水耕栽培を始めた。台の中にある特殊な培地への養液の供給、天窓や遮光・保温シートの開閉などを自動化した。

省エネ型の空調設備や光合成を促す二酸化炭素(CO2)発生装置、病害虫への抵抗力を高めるという緑色の発光ダイオード(LED)照明のほか、温度・湿度や照度、CO2濃度といった各種データの管理システムも備える。

情報通信技術(ICT)などを駆使し、生産性を高める「スマート農業」の実験場にもなっている。現在は従業員が3人で、フル稼働後も5人で運営する。高い台の上で栽培するのは、イチゴ狩りが誰でも手軽に体験できるようにするためだが、農作業を楽で効率的にする狙いもある。

当初は収穫したイチゴを農協経由で洋菓子店向けに供給しながら栽培ノウハウを確立し、2018年1月から観光農園としての営業を始める目標だった。立ち上がりが順調なことから、「もう少し時期を早める」(新規事業開拓部事業開発課の竹内直己課長)。

9月からは計画より1年前倒しして栽培面積を施設全体に拡大し、品種も増やす。入園料は1000円台で検討しており、受け入れ体制を整える。並行して業務向けの出荷も続ける。旧校舎部分には木の玩具や子供向け家具を製造・販売する、なかよしライブラリー(高知県南国市)が拠点を開設する予定で、連携して集客する。

ここを第1弾とし、がっこうのイチゴ園のブランドで同様の閉校跡を活用した観光農園を四国で増やす。学校のグラウンドは水はけが良くハウス栽培施設を建設しやすいが、メリットはそれだけではない。

学校用地は農地ではないため、手続きに時間がかかる農業生産法人の設置などの制約がなく、企業が栽培施設を運営しやすいのも目を付けた理由という。

施設は最新の栽培設備や管理技術を発信する場とし、本業の営業にも活用していく。1月に中国と四国の販社が合併して発足したばかりの中四国クボタにとっても新規事業として期待がかかる。(高松支局長 真鍋正巳)

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