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帝人 もがくヘルスケア 中計、売り上げ1500億円上乗せ

帝人が異業種参入で競争が激化するヘルスケア(医療・医薬)事業でもがいている。6日発表した2019年度までの3カ年計画でマテリアル(素材)と並ぶ経営の柱に育てる方針を掲げたが、既存の医薬と在宅医療機器の勢いは乏しい。体内で使う整形部材やデジタル医療サービスで売上高1500億円を創出する計画。その道筋を早く示す必要に迫られている。

「今は収益に貢献していなくても中期計画の目玉になる」。都内で記者会見した鈴木純社長は、既存事業を伸ばしつつ「発展戦略」と呼ぶ新規事業に挑戦する意気込みを示した。そのために設備投資や買収に3年間で3千億円を投じる。

素材は道筋を付けた。発展戦略の柱となる自動車部品は、1月に米コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP)を840億円で買収。既存の炭素繊維も順調に伸び、価格競争が激しいポリエステル繊維は構造改革にメドをつけた。リチウムイオン電池用素材を含む新規事業の売上高は25年度に現状比10倍以上の2千億円超を目指す。

一方のヘルスケア。今の主力は呼吸器疾患用の酸素濃縮装置など在宅医療機器や医薬品だ。1970年代後半から80年代前半に参入した事業で、17年3月期の売上高は前期比微減の1450億円を見込む。5年前から横ばいが続く。

中期計画ではこれとは別に10年間で1500億円の新規事業を創出する方針を打ち出した。狙うのは人工関節など体内に埋め込む整形部材、機能性食品素材、デジタル診断サービスといった事業だ。およそ40年で育てたヘルスケア事業の規模に匹敵する新規事業を10年で生み出すという。だが、その戦略は明確に示されなかった。

ヘルスケアには異業種からの参入が相次いでいる。キヤノン東芝の医療機器子会社を6600億円超で買収。2000年代にカメラ用フィルムで行き詰まった富士フイルムホールディングスも医薬品分野で買収攻勢をしかける。海外ではオランダのフィリップスがテレビや半導体を売却し、医療機器に経営資源をシフトしている。

帝人はこうした大胆さを示せていない。在宅医療は08年ごろに米国で企業買収に打ってでたが苦戦。現在は構造改革を検討しており、今後、減損処理の可能性がある。

医薬品や医療機器は各国の許認可によって事業展開のスピードが大きく左右される。従来の素材事業と営業ノウハウも異なる。ヘルスケア事業を一から育てるのは極めて難しい。

ライバルとなる素材大手では三菱ケミカルホールディングスは医薬品、旭化成が救急医療機器を巨額買収で強化してきた。鈴木社長は「全体では規模よりも収益性が重要だ」と強調するが、ヘルスケアでは大風呂敷を広げている感が否めない。

帝人も買収戦略は欠かせない。みずほ証券の山田幹也シニアアナリストは「設備投資や買収資金として3千億円の計画は足りないのではないか」と指摘する。既存事業との相乗効果と将来性を見極める「目利き力」も欠かせない。(湯沢維久)

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