米アップル、インドでiPhone生産 巨大市場で競争力
台湾・緯創と年前半にも

2017/2/4 1:31
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米アップルがインドでスマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」の生産に乗り出すことを決めた。台湾の電子機器の受託製造サービス(EMS)大手である緯創資通(ウィストロン)が受託し、インド南部カルナタカ州の工場で生産する見通しだ。今年前半にも生産を始める。インドはスマホで世界2位になるとみられる巨大市場。iPhoneはシェアが2%程度にとどまっており、現地生産で競争力を高める。

アップルはカルナタカ州の州都バンガロール(ベンガルール)市にインド法人の本社を構えている。ウィストロンが同市近郊に持つ工場を拡張してiPhone生産に踏み切る見込みだ。投資額や生産台数などの詳細は明らかにしていない。

カルナタカ州政府は2月2日夜に、アップルが示した生産計画を歓迎する声明を公表。「アップルがバンガロールで生産を計画していることは、州に先端技術やサプライチェーンの発展をもたらす」と述べた。関係者は3日までに、ウィストロンと組んで6月にも生産を始める見込みであることを明らかにした。

インドのスマホ市場は2015年に1億台を突破し、16年も1~9月期は前年同期比8%増の8330万台に伸びている。世界最大市場である中国の伸びが鈍化しているだけに、中国に次ぐ市場になるとみられるインドでのiPhone販売がアップルの成長のカギを握る。だが、インドでは韓国のサムスン電子や地場企業のマイクロマックスに押され、iPhoneのシェアは2%程度にとどまっている。

現地で売れ筋の機種は価格1万ルピー(約1万7千円)程度。iPhoneは価格を抑えた「SE」でも4万ルピー程度で、一握りの消費者にしか手が届かない「高根の花」になっている。今後の販売拡大のためには、現地生産によるコスト競争力の向上は欠かせない。

加えて、アップルがインドで直営店を持たないことが販売拡大を阻む障壁となっていた。インドでは外資企業が直営店を出店する場合、金額ベースで約30%の製品・部品を同国で現地調達しなければならない。アップルは現在、iPhoneのほとんどを中国で作っているとされる。インドで生産できれば調達の問題をクリアし、直営店網を展開できるとみられる。

アップルは今年に入り、中央政府も含めたインド側と現地生産に関する詰めの交渉を加速。部品などの輸入関税の減免などを要請してきた。すでに昨年にはインド南部にソフトウエアやアプリ向けの開発拠点を設けることを発表。今回の現地生産に先立ち、インドを次代の収益源に育てる手を打ち始めていた。

一方、インドのモディ政権は製造業育成策「メーク・イン・インディア」のもと、手薄な製造業の強化を進めている。アップルがiPhoneを現地生産すれば、部品など裾野産業の育成も大きく進むことが期待できる。そのためインド政府は極力、アップルの要求をのむ姿勢のようだ。インドのプラサド情報通信技術相は先月、アップルから要望があれば「広い心で検討する」と述べた。

アップルはインドでの事業拡大に向け、同国の消費者が手ごろな価格でiPhoneを購入できるよう中古端末の自社販売を検討してきた。インド政府側は自国生産されたスマホを優遇するため、アップルに中古端末の販売を認可することを渋ってきたが、今回の現地生産決定で、局面が変わる可能性がある。

現地生産を機に、アップルがどこまでインドで存在感を高められるか。インドのスマホ市場の競争はますます激しくなりそうだ。

(ムンバイ=堀田隆文、ローズマリー・マランディ、台北=伊原健作)

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