/

武田株に見直し余地 米薬価下げ思惑、過剰反応の声

武田薬品工業が1日発表した連結決算(国際会計基準)は純利益が1656億円と前年同期比46%増えた。好業績と裏腹に年明け以降の株価は軟調だ。トランプ米大統領の政策で、薬価が引き下げられるとの思惑が広がったためだ。ただ、国内大手の米国販売は競争力の高い新薬が多い。株式市場には「足元の株安は過剰反応で、見直し余地がある」との声もある。

武田株の1日終値は昨年末を1.4%下回る。アステラス製薬も9.8%安だ。弱材料はトランプ大統領の発言。「(製薬業界に)価格競争を生み出しコストを節約する」という。武田やアステラスは連結売上高の3割前後を米国(アステラスは米州)が占める。米国の薬価引き下げなら業績に影響が出かねないとの懸念が、株価を押し下げた。

発言の真意は不明だが「まずは高額な特許切れ薬への対策を打つのではないか」(大和証券の橋口和明氏)との見方がある。米議会が昨年に特許切れ薬の価格設定を巡る公聴会を開くなど問題視されていたためだ。

米国と日本では薬価の決め方が異なる。医療用医薬品の価格を国が決める日本と違い、米国では製薬企業が自由に決められる。近年は業界再編で寡占化や販売元の集約が進み、日本なら値下げされるような特許切れ薬や後発薬が値上げされるケースが目立つ。

一方、日本メーカーは競争力の高い新薬を米国市場に投入している。武田で主力の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」は独自メカニズムで効き目や安全性を高めた。アステラスの前立腺がん治療薬「イクスタンジ」はがん細胞の成長を阻害するポイントが従来より多く、細胞の増殖を抑えやすい。

このため「武田などの新薬は高額でも適正な価格。政策の影響が出るにしても時期は遅く、度合いも軽微だろう」(大手証券アナリスト)との見方が多い。「冷静に事業環境を分析すると足元は売られすぎ」(外資系運用会社の運用担当者)といった指摘もあがる。

もっとも相手は異端の大統領。武田のクリストフ・ウェバー社長は「政策の詳細が分からず、どうなるか注視している」と警戒する。武田は米製薬会社を6000億円強で買収すると決めたばかり。政策がどうあれ、買収の相乗効果などで付加価値の高い新薬を出し続けることが株価上昇には不可欠だ。(増野光俊)

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン