輸入車、日本で好調 国内シェア4年連続最高
トランプ米大統領が日本の自動車市場を「閉鎖的だ」と主張し批判を強めている。だが国内の自動車市場をみると登録車に占める輸入車シェアは4年続けて過去最高を更新。米国勢とは対照的にドイツ勢は好調を維持し、攻勢を強めている。ただ、欧州勢も日本の独自規格である軽自動車の存在などを問題視している。こうした「非関税障壁」として指摘される課題にどう向き合うか、日本勢は改めて問われている。

26日、独アウディの日本法人は最量販車種「A3」を部分改良して発売すると発表した。運転支援機能を標準設定する一方、最低価格は10万円値下げして300万円を切る価格にした。アウディの2016年の販売台数は2万8502台。過去10年では倍増している。
斎藤徹社長は「今年は19車種を導入し、販売台数も前年比1割増、3万台を目指す」と意気込む。全面改良や新しい小型多目的スポーツ車(SUV)の導入も予定する。
輸入車販売で2年連続首位のメルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長も「今年は5車種以上を発売する」と話す。独BMWも昨年、年間の販売台数で初めて5万台を突破、トヨタ自動車の「レクサス」としのぎを削る。ドイツ勢各社とも大型店の地方への展開など積極的に投資している。
日本自動車輸入組合(JAIA)によると、16年の外国メーカー車の販売台数は前年比3.4%増の29万5114台。登録車に占めるシェアは9.1%と10%の大台も視野に入ってきた。

一方の米ブランド車。16年に米フォード・モーターが撤退、米ゼネラル・モーターズ(GM)も販売台数が1300台程度にとどまり苦戦が続く。輸入車に占めるシェアも1995年には30%を超えていたが、16年は約5%まで落ち込んだ。
だが好調な欧州勢も日本市場に不満を持つ要素がある。軽自動車の「優遇税制」だ。米国と違い、小型車に強く環境技術もあるドイツ勢は、経済連携協定(EPA)などの場で軽自動車の問題を繰り返し提起している。
日本の自動車輸入関税はゼロだが、JAIAは「『JC08』と呼ばれる日本独自の燃費基準の順守など、ハードルが高いのは事実」として、技術基準や環境規制の見直しを求めている。
「米国で3割を超える日本車に比べ、日本での米国車のシェアは低すぎる」と、トランプ政権は指摘する。しかし、日本勢は米国の求めに応じ、現地生産を進めてきた。一方、米国勢は09年以降、東京モーターショーの参加を見送るなど日本から身を引き始めている。
斎藤社長は「日本はメーカーが多く競争が厳しいだけに、魅力的な車を提案できないと戦えない」と話す。米国車の商品力アップが求められるのは論をまたない。だが、日本側も官民が日本市場が「閉鎖的ではない」と丁寧に説明し、納得してもらう努力が必要だ。(中川竹美)
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