2018年7月23日(月)

豊洲、都議選の争点に浮上も 想定外の汚染拡大

2017/1/15 0:35
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 豊洲市場(東京都江東区)の地下水から環境基準を大きく超える有害物質が検出された。調査地点の3分の1以上という広範囲から検出するなど、過去8回の調査と比べ急激に悪化した。築地市場(中央区)関係者だけでなく、土壌汚染対策を検証する専門家会議、そして小池百合子知事にとっても想定外の事態となった。豊洲市場の移転問題が今夏の都議選の争点に浮上する可能性も出てきた。

 専門家会議が開かれた築地市場の講堂。午後1時ごろ、9回目の調査結果が配られると、出席者から「驚いた」「こんなに……」などのざわめきがしばらく続いた。

 過去1~7回の調査では全201地点で有害物質が基準を下回った。8回目は初めて基準値を超えたが、3カ所のみで、いずれも基準の2倍以内だった。桁違いの汚染状況に、専門家会議でも、平田健正座長(放送大和歌山学習センター所長)らが口々に「想定外」、「(要因分析に)時間がほしい」と漏らした。

 「非常に範囲が広がっているうえ、基準値に比べて高い数値が出ている。想定を超えており、驚いた」。小池知事も14日、記者団の取材にこう話した。

 知事は「科学的な分析を優先すべきだ」とみており、まずは大きな変動があった9回目の調査結果の検証が必要になる。

 14日の専門家会議では「1回でこれだけ変化しているのは奇異に感じる」(京都大の内山巌雄名誉教授)との声が出た。東北大の駒井武教授は昨夏から稼働する地下水管理システムに言及。地下水をくみ上げた影響などで水圧や濁り方など「地下水の状態がかなり変わっている」との可能性を示唆したものの、明確な理由は分かっていない。

 そのため同会議は追加で「細かい調査が必要」と判断、都に指示した。従来の3カ月に1回程度のペースから、月1回程度に頻度を高め、地下水の状況を詳しく調べる。

 専門家会議は4月に豊洲市場の安全性についての報告をまとめる予定だったが、平田座長は「遅れる」との見通しを示した。複数回、調査するため、数カ月単位で遅れる可能性もある。これに伴い、市場の移転時期も大きくずれ込むことも想定される。長引くほど、市場業者に補償する金額は膨らむ恐れがある。

豊洲市場の地下水調査の最終結果を受け、厳しい表情で取材に応じる小池知事(14日、東京都豊島区)=共同

豊洲市場の地下水調査の最終結果を受け、厳しい表情で取材に応じる小池知事(14日、東京都豊島区)=共同

 知事は今夏にも移転の是非を判断するとしてきた。築地市場関係者は今月12日、移転時期を16年度内に決めるよう要請。知事は「14日発表の最終的な地下水モニタリング調査次第だ」と述べ、移転の判断を前倒しする可能性も示していた。

 小池知事は都議選で自らに近い勢力で過半数をめざすと表明している。選挙戦が本格化する前に移転を判断することで、賛否の割れる市場移転を争点にすることを避けるとの見方も出ていたが、もくろみが外れた格好になった。

 今回の調査結果を受け、ある非自民の都議は「知事が夏の都議選前に豊洲移転を決断するのは難しくなった」とみており、別の都議も「移転は一層難しくなった」と語る。知事は14日、都議選で豊洲移転問題が争点化するかを記者団に問われて「そういうことも避けられないのではないか」との見方を示した。

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