消費活動の絶滅危惧種への影響、地図で可視化 信州大講師ら
信州大学は4日、世界各国の消費活動が世界各地の絶滅危惧種に与える影響を地図上に示す金本圭一朗・経法学部講師らの研究成果を発表した。各国の生物保護区域の効果的な設定や企業のサプライチェーン(部品供給網)の見直しなどに役立てる狙い。同日、英科学誌「ネイチャー」の姉妹誌「ネイチャーエコロジー・アンド・エボリューション」に掲載された。
金本講師とノルウェー科学技術大学のダニエル・モラン研究員が世界の貿易統計と、国際自然保護連合(IUCN)などの絶滅危惧種のデータを分析。187カ国における1万5000以上の財・サービスと消費者を結ぶサプライチェーンが、世界のどこで生物の多様性にどの程度影響しているか世界地図に示した。
例えば日本の消費活動による影響でエチオピアを濃い紫に着色。日本でのコーヒーや毛皮などの需要により、エチオピアで草原が農作地に転換され、ヒョウ・ライオン・アフリカ象が絶滅の危機にさらされていることを表す。金本講師は「生物多様性の保護に対する責任の所在が明確になり、保護政策が効果的になる」と期待を示す。