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電通へ「心から反省を」 社員過労自殺の母親が手記

電通の長時間労働問題のきっかけとなった新入社員、高橋まつりさん(当時24)が過労自殺してから25日で1年を迎えた。母親の幸美さん(53)が手記を公表し、「役員や管理職の方々は、まつりの死に対して、心から反省をして、二度と犠牲者が出ないよう、決意していただきたい」と訴えた。

2013年に中国の万里の長城を旅行した際の高橋まつりさん(左)と母の幸美さん=幸美さん提供

「まつりの命日を迎えました」で始まる手記は、「あの日から私の時は止まり、未来も希望も失われてしまいました」と、苦しい胸の内を明かした。

まつりさんは2015年4月に電通に入社。同年の秋から残業時間は増え、労災認定の根拠になった1カ月の残業時間は約105時間に達した。まつりさんは毎晩遅くまで働く実態を、「会社の深夜の仕事が、東京の夜景をつくっている」と話していたという。

手記の中で幸美さんは「あの時、私が会社を辞めるようにもっと強く言えば良かった。母親なのにどうして娘を助けられなかったのか」と後悔をにじませた。

幸美さんは10月、まつりさんが過労自殺で労災認定を受けたことを公表した。東京労働局などは、労働基準法違反の疑いがあるとして、11月に本社(東京・港)などを強制捜査。まつりさんが亡くなる以前からたびたび労働基準監督署から是正勧告を受けるなど、過重労働が常態化していたことも明るみになった。同労働局は法人としての同社と幹部を書類送検する方針で、労働環境の実態などを調べている。

電通も対応を迫られている。10月下旬からは「全館10時消灯」を実施し、持ち帰り残業も禁止した。社員のメンタル相談に常時対応するため常勤の精神科産業医も配置した。来年1月には全社員の1割にあたる650人を配置換えし、業務量を平準化させる。

幸美さんは手記で「見せかけではなく、本当の改革、労働環境の改革を実行してもらいたい」と注文。さらに「日本の働く人、すべての人の意識が変わって欲しいと思います」などと訴えた。

幸美さんは手記と合わせ、生前のまつりさんの写真2枚も公表した。

手記の要旨は次の通り

 まつりの命日を迎えました。
 あの日から私の時は止まり、未来も希望も失われてしまいました。朝目覚めたら全て夢であってほしいと、いまも思い続けています。
 まつりはずっと頑張ってきました。就職活動のエントリーシートの自己PRの欄に、「逆境に対するストレスに強い」と書いていました。
 電通に入ってからも、期待に応えようと手を抜くことなく仕事を続けたのだと思います。その結果、正常な判断ができないほどに追い詰められたのでしょう。あの時私が会社を辞めるようにもっと強く言えば良かった。母親なのにどうして娘を助けられなかったのか。後悔しかありません。
 まつりの死によって、世の中が大きく動いています。でも、まつりは、生きて社会に貢献できることを目指していたのです。そう思うと悲しくて悔しくてなりません。
 まつりは、毎晩遅くまで皆が働いている職場の異常さを指して、「会社の深夜の仕事が、東京の夜景をつくっている」と話していました。まつりの死は長時間労働が原因であると認定された後になって、会社は、夜10時以降消灯をしているとのことですが、決して見せかけではなく、本当の改革、労働環境の改革を実行してもらいたいと思います。
 会社の役員や管理職の方々は、心から反省をして、二度と犠牲者が出ないよう、決意していただきたいと思います。そして社員全ての人が、伝統を重んじることに囚われることなく、改善に向かって欲しいと思います。
 日本の働く人全ての人の意識が変わって欲しいと思います。〔手記の要旨は共同〕

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