2018年1月18日(木)

旭硝子「非ガラス」に1000億円 2社買収、1週間で決断

2016/12/20 23:46
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 ガラス世界最大手の旭硝子が化学分野の底上げを急いでいる。20日にデンマークのバイオ医薬品製造企業のCMCバイオロジックスを600億円で完全子会社にすると発表。14日に決めたタイ企業の買収を含め、わずか1週間で計約1千億円の投資を決断した。成長のタネとなる先端技術を取り込み、右肩上がりの成長が見込みにくい“ガラスの天井”を打ち破る。

 2017年1月にCMCを傘下に収める。製薬企業から受託するかたちで、動物細胞などから作るたんぱく質でバイオ医薬品を開発・生産する。売上高は100億円超。記者会見した島村琢哉社長は「ライフサイエンスを化学品の新たな柱に育てる」と述べ、医農薬材料と合わせ、25年までに1千億円規模に育てる考えを表明した。

 10年前と比べ、旭硝子の収益構造は大きく変わった。ガラスの売上高比率は今も最大だが、15年12月期の営業利益は塩化ビニール樹脂やフッ素樹脂など化学品が全体の4割で、最も貢献した。

 旭硝子はその化学品で攻めに出る。20年までの5年で買収のために3千億円の投資枠を設けたが、早くも2社買収で3分の1も使った。1980~90年代に欧米のガラス会社を買収して以降、大型案件から遠ざかっていたのとは様変わりだ。

 「ようやく停滞期を脱した。これから成長のステージに入る」。15年1月に就任した島村社長は今年に入って、こう口にするようになった。

 10年12月期に液晶パネル用ガラスが引っ張り、過去最高の2292億円の連結営業利益を計上。その8割を液晶関連で稼いだ。だが、すぐに失速。建築用ガラスの不振も加わり4期連続の減益に。14年12月期の利益はピークの3割に落ちた。この間は工場閉鎖や希望退職など「立て直しに必死だった」(島村社長)。

 構造改革は終わった。幸い今も強固な財務基盤がある。9月末の自己資本比率は54%。守りでため込んだ資金を生かせる。島村社長はまず化学品に活路を見いだす。

 335億円で買収するタイのビニタイの主力は塩ビ樹脂だ。アジアで拡大するインフラ需要を狙うが、環境に配慮した植物由来のエポキシ樹脂原料の技術も持つ。化学品トップの根本正生常務執行役員は「他社との差別化に生かせる」と強調。別の成長のタネが潜むのを見逃さなかった。

 ガラス産業は転換期にある。米素材大手PPGや仏サンゴバンはガラス事業を撤退・縮小している。植物素材のセルロースナノファイバー(CNF)などガラスよりも軽量で強度がある新素材も続々と生まれている。ガラスは安泰ではない。その危機感が旭硝子をさらなる買収に駆り立てる。

(古川慶一)

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