輸入米入札、新ルールで再開 外食向け需要で落札量が高水準
農林水産省は16日、不透明なリベートのやり取りがあったと指摘を受けて中断していた輸入米のSBS(売買同時入札)を約3カ月ぶりに再開した。リベートを禁じた新ルールの下、輸入商社やコメ卸会社が輸入米を落札。外食産業向けの業務用のコメは、割安な国産米が品薄なため業界関係者の予想以上に需要が強く、落札量は2年10カ月ぶりの高水準になった。
SBSの仕組みが国会で追及されるなどイメージ悪化で、輸入米離れが懸念されていた。ふたを開けてみると、3万トンの予定数量に対し1万1384トンが落札された。落札率は38%で9月実施の前回より3ポイント上昇した。
平均落札価格はわずかに下落。一般米売り渡し価格だと、1キロ172円(加重平均)と前回比10円安だった。豊作だった国産米卸値の先安観に加えて、リベート分が浮いたとして輸入価格が下がるとの見方も影響した。
食材費を抑えようとする外食産業などによる引き合いの強さがうかがえる。丼ものなどを提供する「すためしどんどん」を傘下で運営するガーデン(東京・新宿)は今年、コストを考慮し輸入米を一部で採用した。「引き続き輸入米を使うつもり」と同社は説明する。
SBSは入札後に農水省へ輸入米を売り渡す商社など輸入業者と、農水省を通じて輸入米を手当てするコメ卸など買い受け業者の3者によって契約が結ばれる。しかし契約の外で商社とコメ卸が調整金と呼ばれるリベートをやり取りしていた。リベートの存在が国産米価格に影響を及ぼすとして、入札がとまった。
リベートが禁じられた今回入札では農水省が買い受けと売り渡しで生じる差益(マークアップ)の動向が注目された。コメ産地などにより異なるが、主要銘柄だと前回比で農水省が受け取る差益が4円ほど増えた。
農水省は説明を「そのときの市場環境などを考慮した」(貿易業務課)とするにととどめた。入札に参加したコメ卸会社の担当者は差益の広がりを「リベートがなくなった分を、ほぼ反映している」と、当初から読み切って入札した。
例年、SBS米は売れ残る。今年度は久しぶりに引き合いが強い。農水省は年間10万トンを売り渡す意向で年明け後、頻繁にSBSが開かれることになりそうだ。