内定者つなぎ留め 企業躍起 入社前バイト雇用、先輩と座談会

2016/12/15 0:36
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多くの企業が2017年春入社組の内定式を10月に済ませてからも、内定者のつなぎ留めに躍起だ。就活サービス大手のマイナビ(東京・千代田)が14日発表した内定状況調査によると、回答企業の31%で内々定後の辞退率が「前年より高かった」。売り手市場は続き、内定式に出た学生でも安心できない。就業体験の充実などあの手この手で内定者の就職意欲をかきたてようとしている。

「学生確保が苦しい状況は続いている」。マイナビHRリサーチ課の石田力課長は指摘する。調査では今年の採用活動を振り返り、41%の企業が「前年より厳しかった」、47%が「前年並みに厳しかった」と答えた。回答企業数は2572社。

内々定後の辞退率については「前年と同水準」との回答も39%。複数の企業から内々定を得た学生を自社に引き寄せることが、今年も採用現場の課題だったことが改めて浮き彫りになった。

内定を得た後も別の企業で就職活動をする学生は増えているようだ。マイナビの別の調べでは、大卒後も就職活動する若者のうち、在学中に内定を得ていた比率は16年度で37%。4年前の2倍以上に増えた。希望通りの企業から内定を得られず再挑戦する人がいる。

今年は経団連のルールが変わった。説明会開催の解禁から選考開始までの期間が2カ月短くなり、学生が企業の取り組みを理解する時間が減った。大手電機メーカーの内定を得た都内の私立大学4年の男子学生(22)は「入社前のフォローアップがあまりなく、不安が大きい」とこぼす。学生に自社の魅力を入社前までにじっくりと伝える重要性は増している。

フィットネスクラブ「RIZAP(ライザップ)」を運営するRIZAPグループは内定者をアルバイトとして雇い、本社の新入社員と同じ仕事をしてもらっている。経営企画部で採用を担当する若林謡子さんは「長く働いてもらえるよう、内定段階から仕事内容を理解してほしい」という。

ソフトバンクは今年から18年卒向けの採用手法を内定者に考えてもらう研修を開始。8月時点で入社を決めた学生約250人を少人数のグループに分け、アイデアを競った。一部の優良な事例は実現に向けて準備中だ。採用企画課の井上允之課長は「入社前の時間で学生の成長の機会を提供したい」という。

オリックスは入社までに4回の内定者研修を実施するほか、今年から新たに個別面談の機会を設けた。グループ人事部の深谷ひとみさんは「内定者が早くから会社になじめるように個別対応を充実させた」。親しみやすい1年目の社員との座談会も開き、入社前の悩みを解消してもらう。

マイナビ調査では来年も採用数を増やすとの回答は2割弱あった。学生と企業のミスマッチを防がなければ、就職後の早期退職も起こりかねない。内定式を終えても安心できず、採用担当者がこなすべき「宿題」は増えるに違いない。

(桜井豪、潟山美穂)

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