培養中の細胞 自動観察 渋谷工業、ニコンと新装置
渋谷工業は13日、培養中のiPS細胞などを自動で観察できる装置をニコンと共同開発したと発表した。観察時の手作業を少なくし、省力化と精度向上につなげる。再生医療に取り組む医療機関や製薬会社の需要を見込み、2017年の発売を目指す。
渋谷工業は医薬品や飲料を容器に充填する機械を手掛け、無菌化で高い技術を持つ。今回はニコンの画像診断技術を組み合わせ、無菌状態での細胞培養と観察を同じ機器でできるようにした。これまでは培養と観察を別の装置で行っており、細胞を移動させる際に人を介して雑菌などが混入するリスクがあったという。
無菌状態で培養中の細胞を観察すると、細胞が育つ過程でがん化する状況などを詳しく把握することにつながる。滅菌に使う過酸化水素が顕微鏡をさび付かせるといった課題を克服して製品化につなげた。装置の価格は未定。
開発にあたっては大阪大学などの協力を得た。今回の技術を応用し、将来はクリーンルームを使わず再生医療を手掛けられるシステムの開発を目指すという。