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年金安定へ支給抑制 改革法案が衆院通過

年金支給額を抑える新ルールを盛り込んだ国民年金法改正案が29日に衆院を通過した。政府・与党は「現役世代の負担を抑え、将来の年金の安定につながる」と強調。民進党などは高齢者の年金減額につながると強く反発し、議論は平行線をたどっている。論戦の舞台は参院に移るが、議論を深めるべき課題は残っている。

「現役世代がもらう年金水準を低下させないための法案だ」(自民党・田村憲久前厚生労働相)。「年金カット法案は年金を減らす」(民進党・井坂信彦衆院議員)

衆院本会議では一つの法案に、与野党が正反対の主張を展開した。

複数年まとめて

今回の支給抑制策は二段構えだ。まず2018年4月に年金支給額の伸びを賃金や物価の上昇より抑える「マクロ経済スライド」を見直す。

賃金や物価が低迷する景気後退期に支給額の抑制を凍結した場合、物価が上昇した局面で複数年分まとめて引き下げられるようにする。これまでマクロスライドは物価が下がった時には実施できなかったため、一度しか支給額を減らせたことはない。

04年に「100年安心」をうたってマクロスライドを導入した時には、もらえる年金額が現役世代の所得のどれくらいかを示す所得代替率を04年度の59%から50%に下げる見通しを立てていた。だがデフレが続き、物価が上がらなかったため、所得代替率は一時60%を超えた。先送りしてもまとめて後で年金額を引き下げられるようにすることで、年金額上昇の一定の歯止めにはなりそうだが、たまったツケをどこまで一度に請求できるのかは不透明だ。

若者世代に配慮

マクロスライド以上に参院で争点になりそうなのが、見直しのもう一つの柱である年金の支給額を変える際の目安の見直しだ。

毎年の年金の支給額は、物価や現役世代の賃金の変動によって決まる。

これまでは賃金が物価より下がった場合、年金額を据え置いたり、物価に合わせたりして見直してきた。21年度からは賃金が物価より下がった場合、賃金に合わせて年金額を改定する。このため、物価が上がっても賃金が下がれば、年金額が下がることになる。

賃金が安定的に上昇しなければ、名目上の年金は減ることになる。今、年金を受け取っている高齢者にとっては切実な問題だ。民進党などが強調しているのはこの点だ。

ただ若者世代の立場に立ち制度の持続性を考えれば、与党が足元の年金水準を徐々に下げることで、将来の年金水準を維持すると主張している点は正しい。支給額の抑制が進まなければ積立金が尽きたり、もらえる年金が大きく減ったりするケースはあり得るからだ。

日本総合研究所の西沢和彦主席研究員は「年金制度はマクロスライドを毎年実施しないと維持できない状況に追い込まれている。今回の見直しでは不十分」と指摘する。

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